教えて木内先生!【フレキシブル2023新作】
木内恒(きのうち・こう)
1960年秋田市生まれ。秋田大学教育学部附属中学校でホルンを吹き始める。秋田県立秋田南高等学校、秋田大学教育学部音楽科器楽専攻を卒業。秋田大学在学中よりホルンを山本真氏(元NHK交響楽団)に師事。全日本吹奏楽コンクールに奏者として2回、指導者として通算13回出場。管楽合奏コンテスト全国大会に4回出場(4年連続最優秀賞、2019年度は審査員特別賞受賞)。2006年秋田国体式典バンド指揮者を務める。2009年山王中吹奏楽部とともに日本バンドクリニックファイナルコンサートに出演。2018年「3000人の大いなる秋田特別演奏会」指揮者を務める。1995,2005,2010年に筑波義厚氏とホルンデュオリサイタルを、2022年にホルンソロリサイタルを開催。2007年木内音楽賞受賞。2011年度文部科学省優秀教員表彰受賞。ノースアジア大学明桜高等学校吹奏楽部副顧問。日本ホルン協会理事。あきた芸術劇場「ミルハス」音楽部門アドバイザー。
秋風の三重奏/平山雄一
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒音楽的で美しく、三重奏の楽しさを味わえる!
とても音楽的で美しい作品です。三重奏の楽しさを十分に味わえる曲でもあります。特に後半はその楽しさが増しますが、その分演奏技術は高いレベルが必要となります。3人のヴィルティオーゾメンバーに恵まれた時にはぜひ挑戦してみてほしいです。また、もう少し人数を増やして小編成で演奏することもできます。人数が増えれば難しいところも分担できるのでより取り組みやすくなると思います。いずれの場合でもアンサンブル力が必要です。お互いのパートをよく聴き合いましょう。
Gr:3/Time:5:45
3つの琉球民謡/高橋宏樹
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒琉球音階を感じつつ、楽しみながら練習できる沖縄民謡!
楽譜は演奏しやすく作られているだけでなく、楽しみながら練習を進めていける曲です。またハーモニーの進行がおもしろく、変拍子も効果的なので曲想の変化がつけやすいと思います。全体のパートを4つに分けているだけでなく、各パートをABに分けています。Aは木管、Bは金管におおよそ分けられているのでそれぞれの団体の人数や演奏レベルに合わせることができるように配慮されています。打楽器は1人でも演奏可能です。琉球音階を感じつつ3曲の沖縄民謡を楽しんでほしいです。
Gr:3.5/Time:4:50
十六夜に捧ぐ無言歌/野呂望
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒美しいメロディとハーモニーが随所に使われている!
最小5パートで演奏できます。6/8拍子に慣れていく必要はありますが、全体的にはとても演奏しやすい曲です。もちろんアンサンブルでも演奏できますが、パート6と打楽器も加えると15~20人ぐらいでも十分に演奏することができ、スケールの大きな曲にすることができます。全体を通してとても美しいメロディとハーモニーが随所に使われている点を大切に練習していくと、良い演奏に近づいていくと思います。ちなみに1番のパートはフルートが演奏しやすように思います。
Gr:3/Time:4:30
メテオラ ー 天空の修道院/八木澤教司
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒美しいコラールが印象的なスケールの大きな音楽!
曲は美しいコラール(修道士たちの祈りを表していると思います)と変拍子の激しい音楽(修道士の厳しい修行)との2つの部分からできています。ミステリオーソやカンタービレはそのまま基礎合奏のコラールに使えるぐらいの美しさと内容の濃さを感じます。変拍子は一見難しそうですが演奏者にカウント(4拍子は英語で3拍子は日本語で数える)を取り入れると的確に演奏できるようになります。スケールの大きな音楽とその深みを味わうことができる曲だと思います。
Gr:3/Time:4:30
エインシェント・アクアリウム/和田直也
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒難易度は低いながら様々なスタイルで構成された音楽を楽しめる!
楽譜自体が演奏しやすく書かれているので経験者の少ないバンドにとってはうってつけの曲です。さらにまったく異なったスタイルの4曲から構成されているので、メンバーも音楽の良さを感じながら取り組んでいけるはずです。打楽器は4パート書かれていますが、実情によって2~3人でも大丈夫ですし、ドラムセット一人でも演奏は可能です。(1曲目ラストのグロッケンはあった方がいいので、ここだけ管楽器メンバーにやってもらう手もあります)3曲目のスローブルースのソロはバンドで一番上手な人がノリノリで演奏してほしいです。曲のタイトルなども調べながら練習していくとさらに世界が広がると思います。
Gr:2.5/Time:6:00
花のノヴェレッテ/土田豊貴
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒美しく歌いやすいメロディーで彩られている
この曲は実に美しい曲です。全編が美しいメロディ(歌)で彩られていて、どのパートを担当してもそれを実感できると思います。ですからこの曲に取り組むときは、各パートを歌いながら練習したり、メロディに歌詞を付けたりすることで豊かな表現が身に付くと思います。打楽器が1パートありますが、管楽器のみでも演奏できます。またテンポの変化を楽しむだけでなく、自然な転調によって音楽の雰囲気も変わるのでそこにも注目して演奏してほしいと思います。木管楽器を中心に編成すると演奏しやすいと思います。
Gr:3/Time:4:00
白銀のダイス/江原大介
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒各パートのソリスティックな表現が絡み合う!
実に楽しい作品です。「ソロやりたい!」という意欲的なメンバーが集まっているバンドには最適です。中でもビブラフォンは大活躍ですので、この面白さに気付いて楽しくノリノリで演奏してほしいです。それからIやJの各ソロはぜひスタンドプレーなどで吹いてもらうと盛り上がると思います。またD、L、Oなどのユニゾンのリズムが難しいと思われるかもしれませんが、1拍ずつ取り出して練習すると案外簡単です。ぜひ試してみてほしいてす。インパクトある演奏を期待しています。
Gr:3.5/Time:4:20
カタルーニャ讃歌/松下倫士
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒各パート演奏者の実力を最大限に発揮させてくれる高難易度作品!
演奏者の実力を最大限に発揮させてくれる曲だと思います。難曲ですが演奏効果は抜群です。この曲は元々はクラリネット八重奏として作られたそうですが、フレキシブル編成にしてくれたおかげで、各パートの上級者を揃えて取り組むことが可能になりました。ただし低音の充実は必要です。8番パートはかなり存在感を示す必要があります。変拍子がたくさん出てきますが、しっかりとカウントして練習すれば大丈夫です。どんな難しいパッセージでもテンポをかなり落として1小節ずつ丁寧に練習することで克服できるはずです。ぜひ名演を目指してください。
Gr:4.5/Time:4:20
エコール・ド・ラフォーレ/広瀬勇人
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒美しいメロディと音楽の高まりをしっかりと感じられる
美しいメロディと音楽の高まりをしっかりと感じられる曲です。それでいて楽譜が難しすぎないところに作曲者の優しさを感じます。編成は8パート+打楽器となっています。管楽器だけまたは時々管楽器奏者が交代で演奏することで、アンサンブルでも演奏可能ですが、ぜひ10数人で小編成としても取り上げてほしいです。指揮が入ることで音楽の深みをさらに表現することができるようになると思います。変拍子は音楽の変化を感じることにもなります。カウント練習を取り入れて、正確に演奏したいところです。ラスト3小節が3/4→2/4→3/4と書いた作曲者の意図をくみ取ってほしいものです。
Gr:3/Time:4:30
風之舞/福田洋介
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒6人からアンサンブルで楽しめるフレキシブル版「風之舞」!
ご存じ2004年の課題曲です。当時学生としてこの曲を演奏した人が今では指導者になっているかもしれません。さらに今回は作曲者が様々な工夫をこらしてフレキシブル編成に書き直してくれました。ぜひ各バンドのアンサンブルから小・中編成までのレパートリーに加えてほしいです。またフレキシブルになったことで各バンドの良さが出しやすくなったはずです。全体的に打楽器はとても重要な役割をしています。3パートで書かれていますが2人でも可能だと思います。演奏で気を付けたいのは「舞」です。それぞれの部分がどんな踊りなのか想像しながら練習を進めていけばよいと思います。
Gr:3.5/Time:5:00
森の巨人の詩/阿部勇一
Q.どんな曲ですか?教えて木内先生!
⇒ソロ・テュッティ/テンポ・拍子の変化で幻想的な雰囲気を醸し出す美しい作品!
冒頭から実に美しい場面が続きます。ソロとテュッティ、テンポと拍子の変化がこの曲の生命線だと思います。しっかり練習することで流れるようなそして主張のある演奏ができるはずです。フレキシブル編成になったおかげで各バンドの選択肢が広がり、取り上げやすくなったように思います。単調な表現を避けるためには、曲全体を見渡してから練習を進めていくと良いと思います。またバランスにも注意が必要です。一番聴こえなければいけないパートを確認しながら練習することが大切です。ぜひ圧倒的な演奏を創り上げてください。
Gr:3.5/Time:4:50