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教えて甘粕先生!【中~大編成選曲編】

2023年2月27日
教えて甘粕先生!CD『令和新風3 M-V ミッション』収録作品はどんな曲?
吹奏楽の新時代を飾るレパートリーを結集したCDシリーズ第3弾。福本信太郎氏による監修・指揮で演奏は昭和音楽大学・昭和ウインド・シンフォニー。ダイナミックに仕上がった作品群が次の吹奏楽を切り拓く!

甘粕宏和

東京音楽大学卒業。ワルシャワ国際吹奏楽指揮コンクール2021第1位ならびにオーケストラ特別賞受賞。これまでに吹奏楽を小澤俊朗氏に、指揮を三原明人、近藤久敦の各氏に師事。広上淳一教授を中心とする東京音楽大学指揮科研修生として研鑽を積む。保科洋氏から音楽について広く薫陶を受ける。第32回日本管打・吹奏楽アカデミー賞受賞。

甘粕先生が指揮するやまももシンフォニックバンドの定期演奏会が世界的に活躍中のホルン奏者福川伸陽さんをゲストに迎えて開催されます。要チェック!
CD令和新風3 M-V ミッション/昭和ウインド・シンフォニー
収録曲

トラック1M-V(ミューファイブ) ミッション/松下倫士

Q.どんな曲ですか?教えて甘粕先生!
⇒豊かな色彩感と音楽の深みが同居する骨太な作品!

甘粕宏和先生の解説

 2022年の全国大会でも取り上げられた話題作。誰が聴いても「カッコイイ!」と思う作品ですね!
 小編成やアンサンブル作品も多く作曲されている松下さんらしいソロワークや室内楽的な音楽運びなども楽しめますし、少し背伸びをする感じの練習しがいがあるパッセージやたくさんの打楽器群、ピアノの活躍も相まって、とても色彩感豊かな音楽です。
 タイトルが何を示すのか調べてみるととても興味深いと思いますが、知らずに聴いても「宇宙」や「ミッション」「眩い光」なんかをすぐに感じることができると思います。技術的なハードルは少し高いかもしれませんが、音楽表現に関しては中学生でも想像力の翼を広げて十分に感性を刺激し、長く深く取り組むことのできる骨太な作品だと思います
たくさんの楽器に登場するソロにどんな気持ちを込めるかなど、それぞれのバンドごとにストーリーを考えたりしてオリジナリティのある音楽が作れそうです。そうしてたどり着いた練習番号Uからは気持ちいいだろうなぁー!

Gr:4.5/Time:9:50

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トラック2再逢の空へ/芳賀傑

Q.どんな曲ですか?教えて甘粕先生!
⇒「新しい吹奏楽の響き」を体感できる!

甘粕宏和先生の解説

 芳賀 傑 氏による2020年の作品。
 僕は芳賀さんの作品が大好きですが、何が好き?と聞かれたら、まずは「色彩感あふれるハーモニー」と答えます!どの作品もとても魅力的なものばかりですが、この「再逢の空へ」も現代的な感覚を身に纏いながら「新しい吹奏楽の響き」を存分に体感することができます。
 大空に吸い込まれていくようなメロディーはもちろん魅力的ですが、それ以上に伴奏パートにもとても愛情が注がれているのも特徴で、演奏していて「音楽してる!」と感じることができると思います。そこかしこに散りばめられている転調にもとっても心を掴まれますし、個々の対話やアンサンブルの愉しさに満ちていますし、ホルンをはじめそれぞれの楽器の魅力を無理のない技術で余すところなく表現できそうですし、演奏後の清涼感も独特な心地良さですし、途中に出てくるファンファーレの部分はそこだけを抜き出して式典なんかでも演奏できますし!あぁ、いくらでも書けそうですが、ぜひ実際に演奏してみて「芳賀ワールド」をみなさんにもご体感いただきたいと思います♪中学生でも十分に演奏可能です。

Gr:3.5/Time:10:50

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トラック3大地のいのり/福島弘和

Q.どんな曲ですか?教えて甘粕先生!
⇒一言で言うなら「よく鳴る!歌える!」

甘粕宏和先生の解説

 変幻自在な作風を持ち、新譜が出るたびに新しい引き出しを感じさせてくださる福島さん。委嘱元の様々なオーダーにしっかり応えながらも実に音楽的かつ技術的にも配慮された、そんな素晴らしい作品を生み出す魔術師のような方です。
 さて、この「大地のいのり」は「中学生にとって編成や技術的に無理がなく、技術的に挑戦でき、音楽的な表現ができるようなイメージで作りました。」と作曲者が述べておられますが、そんな説明がピッタリくる感じの作品に仕上がっています。(それでいて演奏効果は抜群だと思います)
 タイトルは作品完成後に付けられたそうですが、まさに広大な大地を連想させるような広がりのあるイントロから、そこで奏でられる主題がさまざまに展開し緩急をつけながらグイグイ進行していきます。
  一言でいえば、「よく鳴る!よく歌える!!」作品です。  クラリネットやフルートに小さなソロがありますが、特別難しいパッセージもなく(連符も長くなく分担奏にしているなど、技術的な面での工夫が楽譜上にたくさん見受けられます)、人数が少なくても十分にスケールの大きい音楽を作ることができると思います。ぜひたくさんの生徒さんたちに取り組んでいただきたい一曲です!

Gr:3.5/Time:7:00

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トラック5リベラシオン/天野正道

Q.どんな曲ですか?教えて甘粕先生!
⇒中学生から大人のバンドまで、等しく音楽的満足感を得られる作品!

甘粕宏和先生の解説

 2022年の全日本吹奏楽コンクール全国大会においては中学校・高等学校・大学各部門で取り上げられました。それぞれの団体の持ち味が生かされるのは勿論ですが「どんなカテゴリーのバンドが取り組んでも、大人でも子供でも等しく音楽的満足感が味わえる」作品です。
 筆者も2022年シーズンはどっぷりとこの作品に取り組ませていただきましたが、冒頭に提示されるテーマが全曲にわたってさまざまに変容していく様をはじめ、アレグロ部の展開もとてもとても魅力的で(それでいて技術的には中学生でも十分演奏可能だと思います)、その語法の多彩さ、表現の可能性の幅広さ、色彩の妙など噛めば噛むほど味が出る、練習すればするほど好きになる、そんなタイプの素晴らしい作品です。
 「変容」というと少し難しく感じるかもしれませんが、「主人公がどんな風にストーリーを紡いていくか」ととらえると良いかもしれません。それぞれのバンドでドラマを作ったり、言葉に表せない様々な感情を音で描き出したりしながら、この深い音楽表現の冒険を多くのバンドに楽しんでいただきたいと思います♪

Gr:4/Time:8:30

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トラック6吹奏楽のためのヴェリタス/高昌帥

Q.どんな曲ですか?教えて甘粕先生!
⇒複雑な変拍子を身体に馴染ませた先にある独特のグルーヴ感が真髄!

甘粕宏和先生の解説

 2021年に作曲された高昌帥先生の作品で、フル編成、及びそれぞれの楽器の機能を最大限活かした大変骨太な作品です。
 高先生のキラ星のような作品たち、その大方に触れる機会をこれまで得てきましたが、この「ヴェリタス」もまた、モノスゴイ作品です。ご本人の解説によると「真理」とその対語である「虚偽」とのせめぎ合い、葛藤を描いているとのこと。
 「こんな難しい作品、誰が演奏するんだろう」と思う高先生の作品も、気付けば日本中のバンドがチャレンジし、見事な演奏がたくさん生まれていますよね。普段は心の奥底にしまってあって決して人前では見せないような感情のヒダを白日の下に晒されるような感覚や、胸の奥深くを抉られるような感覚、途方もない美しさを突きつけられる感覚…など、「ならでは」の世界観を存分に味わうことができることと思います。
 高先生の作品には複雑な変拍子が多く登場しますが、この曲もまた例に漏れず…、ものすごく難しいと感じる場面が存在します。が!恐れるなかれ!!譜読みの段階ではスイス製の精巧な機械時計のようにリズムの仕組みを身体に馴染ませていく必要があると思いますが(高先生はスイス・バーゼル音楽アカデミーで学ばれていましたね!)、少しずつ読めてきたらリズムは「頭で考えるもの」ではなく「身体で感じるもの」。身体の奥底から湧き上がるグルーヴを感じて音楽に没入し、高先生独特の理屈を超えた音楽世界の扉を開くことができると思います♪
 決して気楽に取り組むことのできる作品ではありませんが、じっくり腰を据え、全身の感覚を研ぎ澄まして、いざ高先生ワールドへ!

Gr:5.5/Time:10:00

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演奏データ

監修・指揮:福本信太郎

演奏:昭和音楽大学 昭和ウインド・シンフォニー

※本コラムでは「翡翠の中の肖像/ライアン・ジョージ」については紹介しておりません※

 

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