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教えて佐藤先生!【大編成選曲編】

2023年3月3日
教えて佐藤先生!

佐藤 正人(さとう まさと)

 1959年秋田県生まれ。武蔵野音楽大学でクラリネットを専攻し、故松代晃明・千葉国夫両氏に師事。1983年埼玉県川越市立野田中学校に着任し、95年まで同校吹奏楽部を指導。同校を日本有数のバンドに育てた。音楽教育では、平成3年度埼玉県長期派遣研修教員として東京藝術大学大学院音楽教育研究室で山本文茂氏のもとで研鑽を積む。
 97年以降、川越奏和奏友会吹奏楽団、秋田吹奏楽団、ソノーレウインドアンサンブル、立正大学吹奏楽部を率いて全日本吹奏楽コンクール出場。
 現在、21世紀の吹奏楽"響宴"実行委員、日本管打・吹奏楽会理事、尚美学園大学客員教授をはじめ尚美ミュージックカレッジ専門学校、埼玉県立松伏高等学校音楽科、武蔵野音楽大学各講師、ノースアジア大学客員教授、川越奏和奏友会吹奏楽団音楽監督・常任指揮者、立正大学吹奏楽部、秋田吹奏楽団、ソノーレウインドアンサンブル音楽監督、渋谷区青少年吹奏楽団常任指揮者。

時に愛はいと甘し / 長生淳

Q.どんな曲ですか?教えて佐藤先生!
⇒喜びにあふれたクライマックスからエンディングはまさに達成感と満足感の極み

佐藤正人先生の解説

 長生さんの作品は、どの作品も吹奏楽というジャンルを超えた「素晴らしい音」がします。一人一人、どんな大きな編成でもウインドアンサンブルのような緻密さとゆるぎないテクニックに支えられた最上級の表現力が求められます。「一流の演奏者にしか再現できないのでは」「これは普通アマチュア吹奏楽団には演奏できないのでは」と思わせる作品もありますが、聴いた作品すべてに躍動感、色彩感、高揚感を味わうことができます。中学、高校生が演奏している作品も多いことから、長生さんの音楽性の多才さがうかがわれます。そのなかでも、この曲のスコアを今回見ることができて「自分だったらこんな演奏にしたい」とあらためてこの作品の素晴らしさと魅力を発見しました。表現の指標は(ルバートやアゴーギクも含め)楽譜には書かれていませんが、スコアからはまるで「色」が見えてくるようです。(速度が速くてもどんなに音数が多くても表現は多彩)喜びにあふれたクライマックスからエンディングはまさに達成感と満足感の極みです。「百聞は一見に如かず」といいますが、一見でも(スコアを読んでいても)ワクワクする、まさに長生さんの魅力にあふれた一押しの作品です。

Gr:5/Time:17:00

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氷結の花~吹奏楽のための / 中橋愛生

Q.どんな曲ですか?教えて佐藤先生!
⇒今回加筆されたエンディングバージョンは演奏者も聴く人も圧倒

佐藤正人先生の解説

 これまで中橋氏の多くの作品を聴き、また演奏してきた私も「氷結の花」に出会って中橋氏の才能にあらためて感服したのを思い出します。私が最も演奏したい作品の一つです。前半は緊張感の連続。静と動、美しい!音の重なりと消えゆく響きの絶妙なコントラスト、そして演奏者に求められるテクニックの限界に迫ってくるまるで管弦楽のようなオーケストレーション(音色、アンサンブル力、そして表現力全ての「難しい」なかに「演奏したい」欲求にかられる魅力があります)そして特筆すべきは各楽器の独奏と多彩な打楽器アンサンブル、特に高揚感あふれる後半は見事です。これは吹奏楽のオーケストレーションを完全に把握している中橋氏だからこそ生まれた音楽的にも優れた作品といえるでしょう。(スクールバンドの生徒にも挑戦してほしい!)今回加筆されたエンディングバージョンで築き上げられたクライマックスは演奏者も聴く人も圧倒されます。タイトルの通り、張り詰めた緊張感の中に美しい響きが見え隠れする「吹奏楽」ならではの魅力満載の作品となっています。

Gr:5~6/Time:9:30

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シンフォニエッタ第5番「火焔の鳥」 / 福島弘和

Q.どんな曲ですか?教えて佐藤先生!
⇒全員の持っている全ての音楽的な力(表現力)を駆使して取り組んでほしい

佐藤正人先生の解説

 冒頭から作品の中の情景に引き込まれます(ホルンの主題が形を変えて各場面で登場し全体を支配しています。この主題の表現が統一感と全体の印象を決めると言って良いでしょう。私の好きな手塚治虫の「火の鳥」を初めて見た時の感動も想い起こされました。「…戦争で焼け野原になった荒野に生まれた「炎の鳥」が見た人間の営み(素晴らしい伝統と文化や文明の進化、美しい街並み、人々の愛情や優しさ、戦争の醜さに打ちひしがれる悲しさや憂い不安。その中から立ち上がる希望といった心象風景)」を見事に表現された作品だと感じます。それだけに、場面転換が多く、各部分部分をどのように表現するか以上に、この曲の最も感動的な(練習番号AA以降)クライマックスに至るまでの全体の表現をどう築くかが演奏の説得力を決めます。バンド全体の持っている音や技術はもちろん大切ですが、スコアから「何を伝えたいのか」という表現の意図を明確にして取り組んでほしいです。具体的にはAndanteやAdagio Allegro、Allegro vivo Maestoso(俗に言う「早い遅い、大きい小さい、上手いかどうか」テクニックだけでない)様々なコントラスト、例えばダイナミクスと速度の設定や変化に加えて、楽器間、セクション間だけではなく旋律ハーモニーそして音色に至るまで求められるバランスやアンサンブルの完成度を高めたいですね。そしてなんといっても指揮者も含めた演奏者全員の持っている全ての音楽的な力(表現力)を駆使して取り組んでほしい素晴らしい作品です。是非大人の団体の演奏も聴きたいです。

Gr:5/Time:9:00

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