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教えて中村先生!【小編成選曲編】

2023年4月28日
教えて中村先生!【小編成選曲編】

中村武司(なかむら たけし)

 山口県防府市出身。平成6年(1994年)より山口県公立学校教員として勤務し吹奏楽部を指導。特に、防府市立桑山中学校、山口県立防府西高等学校、防府吹奏楽団において、指揮者として全日本吹奏楽コンクール中国大会に15回、同全国大会に6回出場(うち3回金賞受賞)。また、指導者として全日本アンサンブルコンテスト中国大会に13回、同全国大会に7回出場(うち3回金賞受賞)させている。 現在、防府市立桑山中学校教頭、中国吹奏楽連盟代議員、山口県吹奏楽連盟中学校部会長兼事務局次長、防府地区吹奏楽連盟副会長、(公財)防府市文化振興財団吹奏楽教室(防府吹奏楽団)講師・指揮者。

バンドづくりと選曲で思っていること

 「小編成指導が得意なんでしょ?」とよく人に問われることがあるが、私自身はそんなことを一度も思ったことがない。少人数バンドと関わるときには、毎回試行錯誤の中でもがいている。たまたまうまくいったときもある、程度のことである。音楽教員でもなく専門性も高くないのは、自分が一番よくわかっている。ただ、生徒と活動する中でふと浮かんだアイディアを試し続けているだけの音楽好きな親父の戯れ言である。
 どこまでが小編成なのか、最近よくわからなくなってしまったが、少人数のバンドは50人の大編成のバンドと同じ事をしたり、それを求めたりしてはダメだと思う(このことは、ここ数年でずいぶん認知されてきていると感じる)。音量ではなく、響き。たとえ音数が少なくても、響き合ったときの音は大音量の劈く音を凌駕すると思う。一緒に活動するメンバーの良さ(ポテンシャル)を最大限に引き出し、響き合った音を使って聴く人に伝えたい音楽を奏でること。世界でたった一つの宝石のようなオリジナルの演奏をめざしたいと、いつも考えている。
 また、最近は小編成で書かれた楽譜が数多く世に出ている。そこに書かれている音が全て並ぶことが、曲の世界を表現できる第一歩だと考えている。あまりに音数が足りないときは、編成にあった楽譜を探すか、その曲を諦めるか、にしている(私には、楽譜を書き換える才覚がないので、編曲するという選択肢が存在しない)。そしてスクールバンドの場合、楽譜を見ながら頭の中で鳴る音に「ワクワク」したら、その曲にチャレンジすることにしている。
 これから紹介する曲についても、上記の考えに則った書き方をしている。拙稿が選曲の参考に少しでもなれば、幸いである。

聖なる丘へ/福島弘和

Q.どんな曲ですか?教えて中村先生!
⇒演奏を通じてさまざまな「学び」を得られる作品!

中村武司先生の解説

 鍵盤楽器からフルートソロにつながる冒頭部、とても印象的ですね。メロディ先行ではなく、ハーモニーを担う木管楽器がしっかりと響きを作ることが重要だと思います。全曲を通してメロディ、リズム、ハーモニーを担う部分がはっきりしていますので、まずはそれぞれの役割をきっちり果たした上で、互いの動きをしっかり聴き合いながら「絡み合う」演奏をめざすとよいでしょう。
 また、アーティキュレーションを示す記号がほとんど書かれていません。だから何もしないのではなく、リズムのキャラクターや和音の機能と進行をスコア(総譜)で読み取りながら、どのように吹きたいかをプレーヤーに考えさせることが必要です。そういった学びにつながるよい曲だと思います。
 少人数の場合、木管楽器だけの部分を金管で演奏してみたり、メロディ楽器を他の楽器で吹いてみたりと言った「お試し」をいろいろとしてみると、同じメロディやハーモニーが違う響きで聞こえてきます。バンドの事情で同音域の楽器に単純に置き換えるのではなく、響きの違いを比べながらその部分に合った置き換えをすると、この曲のよさがしっかりと引き出せるはずです。「耳を使った音楽づくり」を学べるよさもあると思います。

Gr:3/Time:6:40

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歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より(小編成)/E.フンパーディンク 編曲:小野寺真

Q.どんな曲ですか?教えて中村先生!
⇒多感な学生時代にこそ、時間をかけてチャレンジしたい作品!

中村武司先生の解説

 まずは、このオペラの内容をみんなで理解しましょう。そうすることで、抜粋された曲がどんな場面の曲なのか、どう演奏すればいいのか、を考えるヒントを得られると思います。また、原曲は管弦楽で書かれています。吹奏楽は別の表現形態ではありますが、オーケストラとの楽譜上の違いを確認しましょう。自分のパートがどの楽器の置き換えなのか、オリジナルなのか。それによって、奏法が変わってくるはずです。特に弦楽器の置き換えの場合は、一音一音を丁寧に演奏し、流れがずっとつながるように演奏したいですね。
 パッセージの中での音の跳躍が多いのも特徴です。基本形を作って基礎練習をしっかりと行うと、演奏しやすくなるでしょう。また、フレーズがどこに向かうのか、そしてどこに収まるのか。頂点(重心)を和音の進行を基に考えながら、音楽づくりをする必要があると思います。
 サウンド面では、サクソフォンの3パートとユーフォニアムが大切だと思います。ふくよかなサウンドにまとめたいですね。音量や激しさ(鋭さ)だけではなく、響きの太さ、しなやかさで奏でたい一曲です。
 手間はかかると思いますが、時間をかけてでも学べることがたくさんある秀曲です。ぜひ、チャレンジしてほしいと思います。ただし音数はある程度は必要です。

Gr:4/Time:7:00

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古都-四季の彩り/八木澤教司

Q.どんな曲ですか?教えて中村先生!
⇒日本の美しさが凝縮された1曲!「秋冬春夏」をしっかり表現しよう!

中村武司先生の解説

 日本の美しさを凝縮した曲ですね。生徒が曲の世界を共有しやすいので、取り組みやすさもあると思います。秋→冬→春→夏、それぞれの特徴をしっかりつかんで表現しましょう。
 短い音で表現する部分は、自分の音をしっかり聴きながらいい音で表現できるように練習しましょう。打撃音(痛い音)にはならないようにしたいですね。また、場面の描き分けでは、連続するスラーが「つながる」のか「切れる」のか、はっきりとした意思をもって演奏できるように。
 また、木管部、金管部で違う役割を担う部分が多いので、それぞれのセクションがしっかりと演奏できるような練習が重要です。足りないパートがあるときは、スコア全体を見ながら、補強し合う方法を考えておくとよいと思います。
 ラストの夏では、鮮やかな花火が打ち上がります。バスドラムを中心に、どんな花火の音がいいのか、みんなで音探しをしましょう。打楽器は「音の博物館」。出せる音の種類を増やしておきましょう。そのために、基礎練習が大切なことを再確認できるはずです。

Gr:4/Time:7:30

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オーバード・ストリーム/J.グラステイル

Q.どんな曲ですか?教えて中村先生!
⇒一聴して思わず「おもしろい!!」と叫んでしまうような、非常に魅力的な曲!

中村武司先生の解説

 「夜明けの小川の歌」とでも訳すのでしょうか。夜明けの凜とした空気や小川のせせらぎが醸し出す空気感。少ない人数で大きな効果を生むように書かれています
 冒頭部、ピアノはぜひ使いたいところ。クラリネットとのデュオは、語りかけるように。その後のpでの部分、音色を損なわないよう、しっかり音を聴き合ってサウンドを作りましょう。pが「弱く」だけでないことを、聴き合うことで確認しながらの音色づくりが望まれます。Cl→S.Sax→Euph→B.Sax→Fl→Clとソロが受け継がれます。ソリスティックな演奏ができるよう、音色、技術だけでなく感性も磨きたいところ。感動的なラストのTutti部分を引き出すためにも、そこに至るまでの伴奏部分もきっちりまとめておきましょう。
 この曲も書かれているアーティキュレーションが限られています。書かれていない部分にも大切にしたい音や目立たせたい音がたくさんあります。楽譜をしっかり読んで、「どう表現したいか」をじっくりと考えていきたいですね

Gr:3.5/Time:7:00

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バルバレスク ~ウインドオーケストラのために/片岡寛晶

Q.どんな曲ですか?教えて中村先生!
⇒確かな技術が身に付く!根気よく取り組む価値のある作品!

中村武司先生の解説

 小編成バンドのために書かれており、音の重ね方や楽器の使い方に配慮と工夫が感じられます。こういう楽譜があることは、ありがたいことです。
 冒頭から緊張感たっぷりの部分。ソロ楽器は音色で勝負したいところです。前半のゆったりした部分、ミステリアスさを出すには、弱奏での個々の演奏力が重要です。基本練習をしっかりしていきましょう。この曲も、必要最低限のアーティキュレーション記号の記譜です。片岡先生の作品はリズム表現が特に重要です。他の曲でも書きましたが、楽譜をしっかり読んで「どう表現するか」をじっくり考えたいですね。同時に、リズム表現、特に短い音での演奏はトレーニングが必要です。時間と根気が必要ですが、とにかく諦めずに取り組みましょう。しっかりとした響きのある音で表現することが、曲が持つ緊張感を高める上に、たっぷりとしたメロディの情感を高めることにつながります。
 確かな技術をつける上でとても役立つ曲だと思います。難易度は高めですが、挑戦してみてはいかがでしょうか

Gr:4/Time:7:30

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大いなる約束の大地~チンギス・ハーン(小編成版)/鈴木英史

Q.どんな曲ですか?教えて中村先生!
⇒音楽的なコントラストでストーリー性を表現!

中村武司先生の解説

 演奏効果の高いこの曲の小編成版の楽譜です。もともと楽器の使い方や音の重ね方について隅々まで配慮が行き届いている鈴木先生の作品ですから、小編成の楽譜でも十分にこの曲の世界観が表現できるように書かれています
 ただ、大編成と全く同じものを求めてはいけません。あくまでも今ある音数の中で響きを作っていくことが重要です。例えば、大編成のスコアと見比べたり、練習番号の同じ部分を大編成と小編成で聴きくらべたりすると、「違い」とともに「共通なもの」が見えてくるはずです。
 また、これまでの曲と同様にアーティキュレーション記号の記譜は最小限です。どう演奏したいかを楽譜とにらめっこして考えること。また、その記号の意味も深く考えてみましょう。限られた種類の記号を使って、作曲家の方は私たちにメッセージを伝えています。記号の意味をストレートに捉えるだけではなく、「なぜこの記号を使ったのか」まで深く考えてみると、新しい表現方法に気づくかもしれません
 重厚な響きもこの曲の大きな魅力の一つです。とくに5度で重なっていく響きは、絹織物のような質感と、生じる倍音や結合音の渦を生みます。「聴き合って響きをつくること」がとても重要です。一つ一つの響きだけでなく、その流れをしっかりと感じ、そこから生まれる抑揚に乗ってメロディが奏でられるとよいのではないでしょうか。鍵は、中音域パートが握っているように思います。
 譜面は平易そうに見えますが、実はとても奥深い曲です。バンドの質感を高めるためにおすすめの曲の一つです。

Gr:4/Time:8:30

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