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楽曲詳細情報
- 作曲
- オットリーノ・レスピーギ(Ottorino Respighi)
- 編曲
- 森田一浩(Kazuhiro Morita)
- 演奏時間
- 11分30秒 (約)
Ⅰ. The Flight into Egypt エジプトへの逃避 (6:00)
Ⅱ. St. Michael Archabgel 大天使ミカエル (5:30) - グレード
- 5
- 調性
- 原調
- 主なソロパート
- B♭Cl. / Trp. in D
- Trp.最高音
- 1st:High C / 2nd:F / 3rd:C
- 編成
- 吹奏楽
楽器編成
- Piccolo
- Flute 1 & 2
- Oboe 1
- Oboe 2 (doub. English Horn)
- Bassoon
- E♭Clarinet
- B♭Clarinte 1 & 2 (all div.)
- Alto Clarinet
- Bass Clarinet
- Contrabass Clarinet
- Soprano Saxophone
- Alto Saxophone
- Tenor Saxophone
- Baritone Saxophone
- Trumpet 1 (div.)
- (doub. Trumpet in D)
- Trumpet 2 & 3
- (doub. Fluglel Horn 1 & 2)
- Horn 1 , 2 , 3 & 4
- Trombone 1 & 2
- Bass Trombone
- Euphonium (div.)
- Tuba (div.)
- String Bass (div.)
- Harp
- Celesta
- Timpani
- Percussion ※5 players~
- Bass Drum
- Crash Cymbals
- Supended Cymbal
- Tam-tam
- Triangle
- Glockenspiel
- Vibraphone
楽曲解説
近代音楽のひとつの新しい流れであったフランス印象主義音楽が、20世紀初頭イタリアにあたかも飛び火したかような、そんな鮮烈なイメージがレスピーギの作品には感じられる。斬新な和声法や色彩感あふれる管弦楽法を駆使しつつ、いっぽうでレスピーギはバロックやルネサンス期の音楽を作品の素材に採り入れ、復古主義的な創作をもってイタリア作曲界の近代ルネサンスを先導した。レスピーギの作品は、古典のシンプルな音楽語法に回帰したいわゆる“新古典主義”とは異なり、古楽の咀嚼から着想した「新しい衣をまとった古楽」といったスタイルを目指しており、1913年からローマのサンタ・チェチリア音楽院教授に就任し、同図書館で稀にみるほど多数の古楽資料に接したことも独自の語法を発展させる大きな要因になった。
彼は1919年、作曲家で声楽家のエルザ・オリヴィエリ=サンジャコモと結婚し、古楽の学位を持つ彼女から、西洋音楽の母胎ともいえるグレゴリオ聖歌についての知識を得た。これをもとに同年、ピアノ曲「グレゴリオ旋律による3つの前奏曲」が作曲され、6年後の1925年、同作品を改作するかたちで管弦楽曲「教会のステンドグラス」が誕生した。改作にあたってレスピーギは友人の文学者、クラウディオ・グアスタッラに相談をもちかけ、彼の提示したアイディアを多く採り入れたと伝えられている。その結果、新たな楽章が一つ追加され、新タイトルにあわせた楽章ごとのサブ・タイトルも考えられた。
教会に設置されるステンドグラスは、文字の読めない人に聖書の一場面を視覚的に説明する目的があるが、4つの楽章にはステンドグラスにしばしば用いられる題材が引用されたことから、その物語に合わせて大幅な加筆なども行われた。
全4楽章から、ここではデリケートな語り口の第1曲と、ダイナミックで攻撃的な第2曲を抜粋して吹奏楽編曲した。第1曲「エジプトへの逃避」は、マタイによる福音書第2章14節により、ヘロデ王の迫害をのがれて幼子イエスとその両親がエジプトへと逃避するシーン。第2曲「大天使ミカエル」は、ヨハネの黙示録第12章7~9節に記された、大天使ミカエル率いる天使軍団と龍(サタン)の戦いを描いており、戦いに負けたサタンが地上に転落する様子を、曲の最後にドラの一撃で表現している。
2004年に吹奏楽コンクールの自由曲として、新潟市の日本文理高等学校吹奏楽部のために当初は第1曲の一部分と第2曲を編曲。2012年、CD「ニュー・アレンジ・コレクション Vol.10」への収録に際して第1曲を完成させるとともに細部にわたって加筆、修正した。もとになったピアノ作品と管弦楽スコアを比較検討し、レスピーギが採用した音型の翻案方法などを他の部分にも拡張することで、管楽器の機能を十分に活かすべく工夫したつもりである。
(森田一浩)