♪詳細情報♪
▼楽器編成▼
Fl.1&2
Ob.1&2
Bsn.1&2
E♭Cl.
B♭Cl.1(div.),2&3
A.Cl.
B.Cl.
A.Sax.1&2
T.Sax.
B.Sax.
Hrn.1,2,3&4
Trb.1,2&3
Euph.(div.)
Tuba(div.)
St.Bass
Harp
♪楽曲解説♪
2011年3月11日の東日本大震災直後より、福島在住の詩人・和合亮一さんは、インターネットのツイッターを通じて、夥しい詩を発信し続けている。時に怒りを、時に慰めを、そして希望を。それらは震災で途方に暮れている私たちの灯となっていった。
これらの詩に2011年4月6日から作曲を始め、同年6月までの間に16曲の歌曲を作曲した。
そのうち、4月26日未明、インターネットに和合さんが投稿したツイート(*1)をもとに、同日作曲したものが、この「貝殻のうた」である。そして翌27日に録画しYouTube上に投稿したのが初演となる。
この歌を含む16曲の歌の福島でのコンサートのライブ録音はCDとして発表され(*2)、楽譜集(*3)も出版。その後、加藤登紀子さんや、新垣勉さんらによっても歌われたりCD(*4)として発売された。また混声四部合唱版(*5)(豊中混声合唱団委嘱)も作り、女声三部合唱版(*5)(福島県会津若松市立第一中学校委嘱)もある。
2013年3月11日、震災から2年後に、台湾の台湾管楽団(Taiwan Wind Ensemble)に招かれてコンサートを行う際に、吹奏楽版を作成。台湾は、震災の直後に多額の支援の手を差し伸べてくれたこともあり、感謝の気持ちを込めてこの吹奏楽版を作った。3月8日宜蘭、9日花蓮、11日台北でのコンサートで、私の指揮、同団の演奏で初演された。
ところで、この詩が発せられた2011年4月26日未明の、図らずもまさに25年前の同日、同時刻に、チェルノブイリの原発事故が起きた。なんとも因果なのでは、と感じるのは私一人だけだろうか。
演奏に際して、もし、木管楽器の音域が高い箇所がある場合、バランスをみながらオクターヴ下げてもよい。(練習番号E、Fあたりのフルート、ピッコロ、E♭クラリネット、第1クラリネットなど)アルト・クラリネットが無い場合、第3クラリネットで演奏できる。また、バランスをみながら、アルト・クラリネットに第3クラリネットを重ねてもよい。最後の和音のバランスが難しい。演奏者人数などをよく調整し、暗闇から一縷の光が見えるように演奏してほしい。
(伊藤康英)
*1 この詩に相当する部分は、『詩の黙礼』(和合亮一著 新潮社/2011年6月15日刊)に収められている
*2 「貝殻のうた」~和合亮一の詩による伊藤康英歌曲集(イトーミュージックVK-309)
*3 「貝殻のうた」~和合亮一の詩による伊藤康英歌曲集(イトーミュージックIMCD1109)
*4 「登紀子 旅情歌 風歌」(ユニバーサル・ミュージック UICZ-4275)
*5 イトーミュージック刊(イトーミュージックVK-304)