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投稿エピソード#32

宝塚市立宝梅中学校 渡辺秀之先生/顧問生活の中でも特に想い出に残る年

2020年9月3日

選曲時のエピソード:神様からの贈り物をいただいた

 この年は顧問生活の中でも特に想い出に残る年となりました。
 当時の宝梅中学校は1学年で450名程も在籍する大規模校で、ダフニスを演奏することになるこの学年の入学生は2年進級時に学校分離という予定になっていました。ですから部員が2校どちらの学校に分かれても編成が成立するように配慮して準備を進めておりました。ところが思わぬ事情により分離は延期され、3年卒業までみんな一緒に活動できることになったのです(1つ下の 『抒情的「祭」』の演奏学年が分離となりました)。
 そんな神様からの贈り物をいただいた訳ですから、この子達が3年にな った時には最高の想い出となるようなすごい曲がしたいと、当時中学生にとって「これほど凄い曲はない」と言われていた『ダフニスとクロエ 第2組曲より 「夜明け」「全員の踊り」』を選曲したというのがエピソードです。

 

練習時の苦労話:思い出すのは素晴らしい思い出ばかり―

 この年は毎年5月に開催される「バンドクリニック(当時は合歓の郷)」のゴールデンコンサートに中学生として初めて招待していただいていた年にもあたり、例年より2ヶ月以上も早い段階で楽譜を配りました。しかし初見合奏であるにも関わらず、間違いながらも私のタクトについてくるのです。熱心なメンバー達はどこかで私の想いを知り、オケスコを手に入れて少し前から自分達で練習を進めていたとのことでした。「1拍に12音」が入り、臨時記号満載の小節が何十小節も連なる超絶運指の曲ですが「私達もこの曲がしたいです!」と言わんばかりに、私の予想を越えて「夜明け」の冒頭部分を演奏している姿勢に「この子たち凄いな!」という感動が、今でも心と目に焼きついています。
 課題曲も超難曲「深層の祭」を選んでいたので、色んな苦労話が多々あったはずですが、不思議なもので思い出すのは素晴らしい思い出ばかりです。
 バンクリの本番前の練習(非公開)を、兼田 敏先生が終始見学されておられ、子ども達に色々と指導の声をかけていただいていましたが、若かりし私には何を指導していただいているのか全く覚えがありません。多分、素晴らしい指導をしていただいたのだろうと思いますが、緊張による緊張で覚えているのは最後の一言「すごいよ!」という言葉だけです。この想い出が唯一の“苦労話”でしょうか。

 

当時のバンドについて:部長を中心にチームに「明るさ」「可愛さ」「凄さ」を感じさせるバンド―

 平日以外の練習はいつも昼からの開始で16時には終わっていました。
 早く終わる理由は練習後にサッカー・ソフトボール・ドッジボールなどをするのが楽しみになっており、ボールが見えなくなる夕暮れまでみんなで走り回っていました。そんな仲の良いエネルギー溢れるバンドでした。
 私自身もそんな時間を楽しみにしていたのでしょうか、積極的に早く終わっていたような記憶が甦ってきます。バンドとしても上手かったですが、部長を中心にチームに「明るさ」「可愛さ」「凄さ」を感じさせるバンドでした。
 集中力抜群の真剣な眼差しや表情、そして夕暮れまで走り回っていた彼らの映像は、私の脳裏に残る「思い出アルバム」の中でも美しく貴重な1ページです。

 

本番時のエピソード:大きく溢れる感慨―

 大規模校としての宝梅中学校は「ダフニスとクロエ」の演奏チームが最後であり全国大会でのブラボーの嵐は忘れることのできない感動です。
 「夜明け」では木管群の超絶運指の連続やピッコロ、Ebクラリネットな ど木管群のソロ、そして感動的なダイナミクスによる壮大な夜明けのシー ンは指揮をする私もゾクゾクした演奏でした。続く「全員の踊り」でもBbクラリネットのソロやトランペットのレガート奏法をはじめ、速いテンポの4分の5拍子の3連符や16分音符のタンギングや運指、それに伴うリズムや強弱の表現は見事でした。
 最後のフォルティシモのエンディング部分で『これまでの宝梅中としての最後なんだ~!』との想いの高まりが緊張と重圧となって一挙に押し寄せてきた「大きく溢れる感慨」は、私自身にとって本番時の貴重なエピソードです。

 

メンバーのその後:メンバーと会える日を楽しみに―

 あれから32年。コロナ禍であってもみんな元気にしていることと思います。私が教諭として退職するときのパーティを中心になって取り組んでくれた者、外国のオーケストラやソロ奏者として活動している者、教育機関・公務員・会社・医療関係・研究職など立派な社会人として忙しく働いている中、アマチュア奏者として楽器を続けているメンバーもいて嬉しく思います。 瞬間、瞬間の色んな想い出を含めエピソードはもっともっとあると思います。メンバーにとっては「エッ、これだけ? 」なのかも知れませんね。
 この時のメンバーと会える日を楽しみに、私も頑張っていきたいと思います。

 

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