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これが藝大の吹奏楽。

2025年5月16日発売のCD《オール・芸大》についてどんなアルバムなのか指揮者の大井剛史さんに伺いました。
2025年4月25日

ブレーン社から発売されている藝大ウィンドのCDシリーズ、今年は趣を変え、邦人作品、しかも全て私たちの先輩方の作品となりました。藝大の吹奏楽の授業では、藝大を卒業された作曲家の作品を毎年必ず採り上げていますが、このような形でその一端をご紹介できることを嬉しく思います。

今回の収録セッションとそのリハーサルを通じて、伊藤康英さん、長生淳さん、当学音楽環境創造科教授でもある田村文生先生には実際に演奏を聴いた上での適切なアドヴァイスをいただきました。また、保科洋さんとは楽譜の詳細について期間中ほぼ毎日毎晩メールでのやりとりを重ねました。先輩たちの親身なご指導に心から感謝いたします。

「岩井直溥さんはホルン科の先輩だよ」とホルンの学生に話すと、キョトンとしています。約80学年 (!) も上の先輩なわけですから、無理もありません。だからこそ、採り上げる価値もあるのです。私だって実体験をしているわけではありませんが、戦後すぐの音楽界の環境や、岩井さんが20代の頃にお仕事をされていたアーニー・パイル劇場の話などをして、その空気感が作品の中に生きていることを確認し、音に反映させていくのは楽しい時間でした。そしてその経験と知見を、今度は彼ら彼女らが次の世代に引き継いでいってくれるでしょう。

作曲家の生年順に並べられた収録曲の最後は、田村文生「葵上」で閉じられます。東京藝術大学には唯一無二の存在として誇れる邦楽科があるため、笙を必要とするこの作品は藝大の独自性をご紹介するのにもうってつけの作品であると思います。一般には難解と言われる田村作品ですが、その音楽表現方法は決して解りづらいものではなく、むしろシンプルに情景や感情が描かれていますし、幻想的と言っても良いような美しいハーモニーも聞こえてきます。今回、学生たちの豊かな感性がそうした作品の性格を自然に捉えてくれたと感じています。

テスト録音のプレイバックをみんなで聴いたあと、限られた時間のなかでベストな結果を目指して向かっていく学生たちのパワーと集中力、その結果として高まっていく演奏内容には驚かされました。私が学生だった30年ほど前とは全く別の世界のように思ったほどに。そしてこれが彼ら彼女らにとっては当たり前のこととなり、日本の音楽界を変えていってくれるのでしょう。その意味ではこのCDは、日本の管打楽器界の未来予想図であるとも言えましょう。

大井剛史

指揮:大井剛史
発売日:2025年5月16日
販売価格:2,750円(税込)

《収録作品》

  • 明日に向かって / 岩井直溥
  • 嗚呼! / 兼田 敏
  • Lamentation To ― ~Theme & Variations~ / 保科 洋
  • 秘儀 Ⅳ〈行進〉 / 西村 朗
  • ピース、ピースと鳥たちは歌う / 伊藤康英
  • アスキリヤヴェ~ありしものへ / 長生 淳
  • 葵上 / 田村文生

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