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投稿エピソード#33

八戸市立湊中学校 長利清人先生/初めての普門館

2020年11月20日

初めての普門館

今回レジェンダリーリターンズに収めていただいた演奏は、私が湊中を指揮することになって2年目、初めて普門館のステージに立った時のものです。それまで何度も全国大会に出場してきた湊中でしたが、私が指揮するようになった前年は、県大会でまさかの敗退!子ども達の悔しさは尋常ではありませんでしたし、私も大変責任を感じていました。そのため、この年のコンクールに向かう意気込みは凄まじいものがありましたが、その年の部員48名中3年生はたったの10名。25名いた1年生も初心者が半分以上。「大変だ!」という思いと「何とかしなきゃ!!」との思いを数少ない3年生と共有してコンクールに向け奮闘しました。

 自由曲に選んだのは『ディオニソスの祭』。この曲は4年前の全国大会で湊中が金賞をいただいた曲。「またこの曲?」と言われるのを承知の上で「どうしてもディオニソスをやりたい!」とダダをこね、先輩達の演奏を耳にしたことがあった部員達も「難しい曲だけどチャレンジしてみたい!」と賛成してくれ練習が始まりました。ところが、予想以上の難しさに生徒も私も目が白黒!いろいろな方々のご指導と生徒の頑張りのおかげで何とか全国大会への切符を手にすることが出来、安堵したことを覚えています。
 こうして迎えた全国大会当日、初めての普門館にビクビクドキドキしていることを生徒達に気づかれないよう必死に振る舞っている私に、湊中が以前からお世話になっていた八田泰一先生が手招きをしています。招かれるままについて行くと、ステージ脇の小部屋に通されました。そこにいらっしゃったのは、当時全日本の役員をされていた酒井正幸先生!先生は初対面の私に穏やかな笑顔で声をかけてくださっただけでなく、何と、ご自分で温かいお茶を入れて私に勧めてくださったのです。「畏れ多い」と恐縮しながらもそのお茶をいただきステージ袖に戻ってみると、さっきまでの緊張感がすっかりほぐれ、適度な高揚感と平常心で、あの広く黒いステージの上の初めての本番を楽しむことが出来ました。今考えると魔法にかけられたようなひとときでした。

 

湊の響きとイサバのカッチャ―

 湊中吹奏楽部には多くのファンがいます。湊中学区にある陸奥湊駅前の市場にイベント演奏で行くと、お店の前や市場のベランダに鈴なりになって聞いてくれる「イサバのカッチャ」(市場などで魚を販売しているお母さん方やおばあさん方、中にはトッチャも・・・)の皆さんもその一員です。1曲終わるごとに盛大に惜しみない拍手をしてくれます。私が地域巡回や買い物で市場を歩くと、あちこちから「バンドの先生っ!」と声をかけていただき、魚が1匹多く入っているなどの“おまけ”もたびたび・・・(ラッキー♪)。

 このように地域の皆さんやたくさんの方々に支えられ歴史を刻んできた“湊中ブラバン”が、これからもずっと愛され続けることを願っています。

 

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