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投稿エピソード#17

津山市立津山西中学校 稲生健先生/その時の仲間たちとだからできる活動・音楽

2020年9月3日

その時の仲間たちとだからできる活動・音楽

2000年の吹奏楽コンクールは津山西中学校に勤務して12年目の出来事で、私にとって全国大会出場は夢のまた夢の話でした。

 

いつもそれを心底意識したことはありませんでいたが、津山西中学校の名前が中国大会の表彰式で呼ばれた時には本当に涙を流して喜んだのを覚えています。

 

 

課題曲の『をどり唄』は日本的魅力が詰まった曲で当時のバンドにハマったと感じています。

 

ただ、懸念したのは冒頭がトランペット3本で始まること。どのバンドも懸念する中で私も悩みましたが、この生徒達ならいけるであろうという事で選びました。

 

課題曲も聴いていただけたら分かるのですが、冒頭のトランペットで生徒の音が外れてしまうという事が起こりました。

 

私も初の全国大会で緊張していたのでしょう。もうワンポイント指揮を待ってあげればよかったところ、少し気焦って振り始めてしまいました。

 

全国大会までミスのなかった箇所でしたので当然部員全員が動揺の表情です。

 

今となってはいい思い出になりましたけど、ミスはみんなでカバーする、そのあと気持ちで立て直していい演奏につなげる。当時の生徒と会うと、今でもそんな話をします。

 

 

私は自由曲選曲に1本のテーマを持っていました。美しいアリアやメロディーが必ずどこかにあるということ。

 

見た目から想像できないかもしれませんが横揺れの音楽がすごく身体に響くんです。『第六の幸運をもたらす宿』はその要素を充分に持つ楽曲でした。

 

中学生は技術を引き出す以前に、「やろう!」という心を引き出してあげることが難しいと思っています。

 

こちらの情熱がしっかり高ければ、「この指とまれ。僕の情熱に。」と言ったら生徒がとまってくるといいますか、志の高いところには必ずそういう結果があると思って、自分はくじけないようにやっていました。

 

こう見えても悩みは多かったです。

 

その分、「部員の悩みは私の悩み」という事もその瞬間瞬間で隠さずに伝えていましたので、一緒になって乗り越えてきた結果が深みのあるサウンドを作り上げたのでしょう。

 

『第六』の後半のゆったりとしたメロディーを今も聴けば聴くほどあの時の苦労が全部サウンドになっていると感じます。

 

 

印象深いエピソードを今でもはっきり覚えています。

 

『第六』にはソロが何か所かあるのですが、1年生、2年生、3年生とソロを吹かした時に2年生の生徒が上手に演奏したのです。

 

私は音楽に学年は関係ないと思っているので「はい、そこは2年生でいこう。」と練習の時に決めたのですが、言葉を発した後は「3年生にソロを吹かせてあげればよかったかな…」と自問自答です。

 

そのあとのことです。ソロを外された3年生がソロを任された2年生を廊下で指導し始めたではありませんか。

 

これには泣いてしまいました。

 

2年生も3年生の想いに答えようとして一生懸命吹く。そんなドラマがありました。

 

これはうれしかったです。

 

CD収録の『第六』。フルート、ピッコロ、そしてトランペット、と挙げたところが、すべてそのドラマの子供たちが吹いているところです。

 

横できっと先輩が「頑張れ」って微笑んでいたと思います。

 

 

今振り返るとこんな風に感じていました。

 

この頃は基礎合奏だけで2時間費やすなど、楽しい練習、合奏の時間でした。

 

「努力はうそをつかない」を連発し、毎日生徒たちと音楽に没頭していました。『第六』のサウンドは今では再現することのできない響きです。

 

でもそれは当たり前です。その時の仲間たちとだからできる活動、音楽だからです。

 

あの頃の生徒達も大人になり、またこの演奏を聞いて思い出が蘇ることでしょう。

 

稲生も55歳。元気です。

 

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