楽曲詳細情報
- 作曲
- 阿部勇一(Yuichi Abe)
- 演奏時間
- 6:15
- グレード
- 3.5
- 主なソロパート
- Fl. / A.Sax. / O-daiko(大太鼓)
- Trp.最高音
- 1st:F (A) / 2nd:E
- 演奏最少人数
- 12名
- 1st Flute
- 2nd Flute (option)
- Oboe (option)
- Bassoon (option)
- 1st Clarinet in B♭
- 2nd Clarinet in B♭
- Bass Clarinet in B♭ (option)
- Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭ (option)
- Baritone Saxophone in E♭ (option)
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭ (option)
- 1st Horn in F
- 2nd Horn in F (option)
- 1st Trombone
- 2nd Trombone (option)
- Euphonium
- Tuba
- String Bass (option)
- 1st Percussion
- Timpani
- Sleigh Bell
- Suspended Cymbal
- 2nd Percussion
- Wood Block
- Claves
- Surigane (摺鉦)
- Shime-daiko (締太鼓)
- Wind Chime
- Whip
- 3rd Percussion
- Shime-daiko (締太鼓)
- O-daiko (大太鼓)
- Claves
- Suspended Cymbal
- Whip
- Surigane (摺鉦)
- 4th Percussion (option)
- Surigane (摺鉦)
- O-daiko (大太鼓)
- Triangle
- Sleigh Bell
- Wood Block
- 5th Percussion (option)
- Sleigh Bell
- O-daiko (大太鼓)
- Bass Drum
- Suspended Cymbal
- 6th Percussion (option)
- Glockenspiel
- Vibraphone
- Xylophone
楽器編成
楽曲解説
この曲は茨城県龍ケ崎市立龍ケ崎中学校吹奏楽部により2024年に委嘱されました。
龍ケ崎市には少し変わった名前の神社があります。女化神社という稲荷神を祀る神社で、女化稲荷とも呼ばれています。この神社には「女化物語」という狐の恩返し伝説が残されているということで、今回はこの伝説をテーマにして曲を書いてみました。
物語のあらすじはこうです。
昔、忠五郎という男が女化原で猟師に狙われていた狐を助けます。
狐は恩返しに人間の女性に姿を変えて忠五郎の前に現れ、やがて妻になり3人の子供をもうけて幸せに暮らします。
しかしあるとき狐の尻尾を子供たちに見られてしまいます。
正体を知られた狐は別れのつらさを歌った「みどり子の母はと問はば女化の原に泣く泣く伏すと答へよ」という一首の歌を残して女化原に消え、
二度と戻ることはありませんでした・・・。
曲の冒頭は物語の幕開けを告げるべく鮮烈に始まり、太鼓のソロが伝説の世界へいざないます。続くメロディは「むかしむかし、あるところに・・・」というような語り部をイメージしています。フルートなど木管楽器のソロは母狐を象徴し、中間部のフルートとクラリネットのソリから続く哀愁漂うメロディは別れのつらさに溢れる涙が川のように流れる様を歌っています。
時折出てくる軽やかなリズムは狐が飛び跳ねる動きをイメージしています。この神社には神使である狐の像が沢山あるということで、この曲にも狐を象徴するリズムを各所にちりばめました。
物語には続きがあり、狐は家族と別れた後も陰ながら子供達を支え、その子孫は立身出世を果たしたと言われています。また、この女化神社は古くから信仰を集め、江戸時代には遠方から来る多くの参拝者で大変な賑わいを見せたと言われていることから、明るい曲調の部分にはこのあたりのことを反映しました。
クライマックスの金管楽器が上昇するユニゾンからは、歌舞伎役者が最後に見得を切ってポーズを決め、高揚するお囃子が物語のラストシーンを華々しく飾る、そんな幕切れの演出を取り入れています。
曲名について
明治18年(1885年)、五代目尾上菊五郎がこの女化物語を題材にした歌舞伎を上演し、門人と共に女化神社に参拝に訪れたと記録に残っています。その歌舞伎の演目「女化稲荷月朧夜(おなばけいなりつきのおぼろよ」の字面が美しく響きが気に入ったので、そのまま曲名にしました。
(阿部勇一)