オード・トゥ・R. S. ～ロベルト・シューマン生誕200年に寄す～／高 昌帥【吹奏楽ライセンス楽譜】

コラール(ハ長調)：シューマンのコラール旋律自体、実は原曲がありまして、16世紀のフランスの作曲家、 ルイ・ブルジョアが作った讃美歌のメロディがもとになっています。この旋律はかのJ.S.バッハも「大いに喜べ、我が魂」と題して何度も和声づけをし、自作のカンタータにも使っていたりもする、由緒正しい恐れ多い旋律です。このメロディに新しい和声をつけてみました。

第１変奏(ヘ長調)：自分ではなんとなくブラームスっぽいと思っていたりします。 
第２変奏(ホ長調)：対位法的な絡みにたいそう苦心しました。 
第３変奏(ヘ長調)：スケルツァンド的・快活な変奏です。 
第４変奏(イ短調～ハ長調)：だんだんテーマから遠ざかっていきます。ゆったりとした緩徐変奏。 
第５変奏(ハ長調)：一転して前の変奏の気分を吹き飛ばす快速な変奏。テーマは旋律断片となります。

テーマ(ヘ長調)：ここでテーマである、シューマンの「装飾されたコラール」がほぼ原曲のまま登場します。ほぼ、と言うのはこのコラールに、シューマンの作品中で恐らく最も有名な旋律、「トロイメライ」(各変奏の調性がトロイメライの最初の出だし、ド・ファ・ミ・ファ・ラ・ド・ファ・ファとなるように設計されてもいます)が埋め込まれているからです。

フーガ(ヘ長調)：トロイメライのモティーフをテーマとした短くも活発なフーガによる締めくくりです。最後の最後にはシューマン自身もよく用いた、イニシャルに基づく音列(Schumann　アンダーラインの文字を拾うと S(Es)－Ｃ－Ｈ－Ａ、ミのフラット、ド、シ、ラ、となります)を高らかに鳴らし、曲を閉じます。

（高 昌帥）