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楽曲詳細情報
- 作曲
- 阿部勇一(Yuichi Abe)
- 演奏時間
- 10:00
- グレード
- 5
- 主なソロパート
- Fl. / Ob. / Cl. / A.Sax. / Trp.
- Trp.最高音
- 1st:High H / 2nd:G♯ / 3rd:F
- 演奏最少人数
- 40名
- 編成
- 吹奏楽
- Piccolo
- 1st & 2nd Flutes
- 1st & 2nd(option) Oboes
- Bassoon
- Contrabassoon (option)
- Clarinet in E♭
- 1st Clarinet in B♭(div.)
- 2nd Clarinet in B♭(div.)
- 3rd Clarinet in B♭(div.)
- Alto Clarinet in E♭(option)
- Bass Clarinet in B♭
- Contra-alto Clarinet in E♭(option)
- Soprano Saxophone in B♭
- 1st Alto Saxophone in E♭
- 2nd Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭
- Baritone Saxophone in E♭
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭
- 3rd Trumpet in B♭
- 1st & 2nd Horns in F
- 3rd & 4th Horns in F
- 1st Trombone
- 2nd Trombone
- 3rd Trombone
- Bass Trombone
- Euphonium
- Tuba (div.)
- String Bass
- Harp (option)
- Timpani
- Drum Set
- Tam-tam,Crash Cymbals,Xylophone,Vibraphone
- Chime,Bass Drum,Bongo
- Crotale,Suspended Cymbal,Triangle
- Glockenspiel
楽器編成
楽曲解説
この曲は、シェイクスピアの最後の戯曲『テンペスト(嵐)』を題材にしています。嵐によって引き寄せられた人々が、憎しみを乗り越えて和解へと向かう―そんな物語を、「愛と赦し」というテーマを軸に描きました。委嘱元の希望によりドラムセットと アルトサクソフォンをフィーチャーした構成としています。
【テンペストのあらすじ】
物語は、ナポリ王アロンゾーとミラノ大公アントーニオらが乗った船が大嵐に遭い、ある孤島に漂着するところから始まります。
実はこの島には、12年前実の弟アントーニオによって国を追われた兄プロスペローとその娘ミランダが住んでいました。プロスペローは恨みを晴らすため魔術を使って嵐を起こし、一行を島に引き寄せたのでした。何も知らずに島に流れ着いた一行はプロスペローに操られるようにして、様々な愛憎劇を繰り広げます。アロンゾーの息子の若き王子フェルディナントはミランダと恋に落ち、真実の愛を証明するためプロスペローの厳しい試練を受けます。大公アントーニオは密かにナポリ王アロンゾーの殺害を計り、島の怪物キャリバンは自身の支配者プロスペローへの反乱を企てますが、いずれの計画も妖精エアリアルによって阻止されます。プロスペローは一行を翻弄し追い詰めていきますが、やがて混乱し錯乱状態に陥る仇敵の哀れな姿を前に、復讐の虚しさに気づきます。彼らに過去の罪を悔い改めさせ、全てを赦すことを決意するのです。こうして一同は和解し、帰国してフェルディナントとミランダの結婚式を執り行うことが決まります。プロスペローに仕えていた妖精エアリアルは自由の身になり、プロスペロー自身も復讐に囚われていた闇の人生から解放されることとなるのです。
嵐のあとに残るものは、怒りではなく、愛。混沌ではなく、調和。島は試練の場であると同時に浄化の場でもありました。復讐に燃えた心は次第に解かれ、優しさと安らぎを取り戻します。一同の前には太陽に輝く穏やかな海がどこまでも広がっていました。
【曲について】
冒頭、曲の幕開けは果てしなく広がる大海原、遠くに浮かぶ一隻の船の遠景から始まります。徐々に魔法の力が船に近づき、雨雲が覆っていく様子をハーモニーの移り変わりで表現しています。プロスペローの怒りと魔術を象徴する、雷鳴のような金管が鳴り響き、激しい嵐の描写へと移ります。木管楽器の高速スケールと金管の轟音が、嵐の凄まじさと、パニックに陥った船上の人々の姿を生き生きと描き出します。木管のソロで静かに始まる中間部は、フェルディナントとミランダが恋に落ちる場面です。嵐が去った海の穏やかな波音を背景に、無垢な若者たちが奏でる愛のメロディが楽器を変えて繰り返されます。しかし、そのメロディにも次第に不穏な気配が漂い、島の別の場所で進む大公アントーニオと怪物キャリバンの陰謀を予感させます。雰囲気は一変し、軽快なテンポにのったジャズ風の曲調が展開していきます。陰謀とそれを阻もうとする魔法とのせめぎ合い、罪の意識と恐怖に揺れる人間の姿を、シリアス且つ軽妙に描いていきます。そして終盤、ようやく一同に和解がおとずれ、愛と赦しの精神を高らかに歌い上げる荘厳なメロディが響き渡ります。長く雲に覆われていた空がようやく晴れ、まぶしい陽の光で世界が満たされるような、あたたかく希望に満ちたイメージです。中間部の愛のテーマが晴れやかに再現され、クラシックとジャズの融合によって、華々しくフィナーレを迎えます。
曲は、古典的なクラシックを思わせる部分とリズミカルでジャズ風の現代的な部分とに分かれて構成されています。クラシックな部分は、シェイクスピアの時代の“音楽劇『テンペスト』”を、現代的な部分はブロードウェイの“ミュージカル『テンペスト』”をそれぞれ空想して書きました。二つの対照的な世界観に浸りながら、その違いを意識して演奏すると、曲の持つ表情がより豊かに感じられると思います。
(阿部勇一)












