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♪詳細情報♪
編曲:田村文生 (Fumio Tamura)
演奏時間:10分20秒 (約)
グレード:5
主なソロパート: Ob. / B♭Cl.
Trp.最高音:1:HighC/2:G/3:F/4:A/5:Gis/6:E
編成:吹奏楽
▼楽器編成▼
1st & 2nd Flutes
3rd Alto Flute (doub. 3rd Flute)
1st & 2nd Oboes
English Horn
1st & 2nd Bassoons
Contrabassoon
E♭Clarinet
1st , 2nd & 3rb B♭Clarinets (all div.)
Alto Clarinet
Bass Clarinet
Contra-alto Clarinet
Contrabass Clarinet
Soprano Saxophone
1st & 2nd Alto Saxophones
Tenor Saxophone
Baritone Saxophone
3rd & 4th Horns in F
1st Trumpet
2nd & 3rd Trumpets
(all doub. Flugelhorn)
4th , 5th & 6th Trumpets
1st , 2nd & 3rd Trombones
Bass Trombone
Euphonium (div.)
Tuba (div.)
String Bass (div.)
Harp
Celesta
Percussion ※5 players~
Bass Drum
Crash Cymbals
2 Suspended Cymbals
Tam-tam
Triangle
Tambourine
Glockenspiel
Xylophone
Vibraphone
Chimes
♪楽曲解説♪
ギリシャ神話を基にし、1906年から1908年にかけて作曲された『エレクトラ』。1時間45分にわたる全曲の最終場面では、不倫の隠ぺいのために殺害された実父(アガメムノン)の復讐を果たした娘エレクトラが、喜びとともに「名の無い踊り」を踊りながら自らも死に、幕となる。殺人発覚の場面から幕切れまで、途切れることのない緊張感をもって高揚してゆく音楽は、明快な旋律線と同時に複雑なテクスチャーを持ち、優美であると同時に熱狂的でもある。また、様々に転調し、広がりのある調空間、大規模な管弦楽の華麗な色彩、そしてライトモティーフ(示導動機)の重層的展開など、リヒャルト・シュトラウスの音楽の特質が如実に表れていると言えるだろう。原曲の管弦楽部分は、オペラ史上最大の編成を持つものとされているが、その音響的ダイナミズムは、吹奏楽に置き換えられても殆ど色褪せることはない。
本編曲においては、原曲における歌唱旋律がほぼ全面的に削除された。しかし音楽は無味乾燥なものとはならず、管弦楽が前景化されたことにより、シュトラウスの華麗な「音の織物」の煌びやかさが一層明瞭に表れてくるばかりである。そしてそれは、歌詞以上に、ストーリーを雄弁に語ることとなる。
シュトラウスのオペラにおいては、言葉は「言葉のまま」であり、必要以上に器楽に介入せず、逆に依存もしない。「歌」は音と言葉の相互依存・調停の結果ではなく、「言葉」はある音響空間にただ「置かれた」ものである。それゆえ、声、器楽のどちらか一方を取り除くことによる他方への構造的影響は最小限であり、たとえ「歌われるもの」としての言葉が不在であろうとも、そこに残るものは十分に意味内容を持つ。
そう、結果的にストーリー性のある管弦楽曲(この場合は吹奏楽)である「交響詩」へと変貌することとなったのだ。(田村文生)
愛媛県立伊予高等学校、東京学館新潟高等学校、下関西高等学校、静岡大学、以上各吹奏楽部(団) 2015年度共同委嘱作品(委嘱コーディネーター:渡部謙一)