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楽曲詳細情報
- 作曲
- ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach)
- 編曲
- 森田一浩(Kazuhiro Morita)
- 演奏時間
- 12分00秒(約)
- グレード
- 5
- 主なソロパート
- 特になし
- Trp.最高音
- 1st:High B♭ / 2nd:G / 3rd:Es
- 編成
- 吹奏楽
楽器編成
- Piccolo (doub. 3rd Flute)
- 1st & 2nd Flutes
- 1st Oboe
- 2nd Oboe
- (doub. English Horn in F)
- 1st Bassoon
- 2nd Bassoon
- (doub. Contrabassoon)
- Clarinet in E♭
- 1st Clarinet in B♭ (div.)
- 2nd Clarinet in B♭ (div.)
- Alto Clarinet in E♭
- Bass Clarinet in B♭
- Contraass Clarinet in B♭
- Soprano Saxophone in B♭
- 1st Alto Saxophone in E♭
- 2nd Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭
- Baritone Saxophone in E♭
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭
- 3rd Trumpet in B♭
- 1st & 2nd Horns in F
- 3rd & 4th Horns in F
- 1st Trombone
- 2nd Trombone
- Bass Trombone
- Euphonium (div.)
- Tuba
- String Bass
- Celesta
- Harp
- Timpani
- Percussion
- Snare Drum
- Bass Drum
- Crash Cymbals
- Suspended Cymbal
- Triangle
- Tam-tam
- Glockenspiel
- Vibraphone
- Chimes
楽曲解説
原曲は、ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1710年ごろに作曲したとされるオルガン作品。全体は、8小節の単声旋律に基づく20の変奏と、副旋律を加えた2声体のテーマを展開させる2重フーガからなっている。フーガ部分を21番目の変奏ととらえて、単に「パッサカリア ハ短調」と表記されることも多いが、パッサカリア部分と後半のフーガ部分がほぼ同じサイズで書かれているため、フーガ部の存在感が際立っている。こうした全体像の印象から考えるならば、やはり「パッサカリアとフーガ」の表記は妥当なのではないかと思われる。
数多いバッハのオルガン作品の中でも、壮大な構造美を持つ作品として評価が高いため、異種楽器への編曲が数多く存在する。ピアノ2手、4手を始め、オーケストラ編曲が豊富なのもこの作品ならではである。有名なところでは、指揮者レオポルド・ストコフスキーによる管弦楽編曲、同じく指揮者ユージン・オーマンディによる管弦楽編曲、イタリアのオットリーノ・レスピーギや、ロシアのアレクサンドル・ゲディケといった作曲家も管弦楽編曲を試みている。私はこの吹奏楽編曲に取りかかる準備としてピアノ編曲、管弦楽編曲のうち、楽譜が入手可能なもののほとんどを閲覧したが、それぞれに異なる個性が反映されていて大変に驚いた。通常、バッハ作品の編曲は、音楽がバッハの世界からはみ出さないように(あるいは、その延長線上で)改編していくものと心得ていたが、明らかにその範ちゅうを超えている編曲が多いのだ。ストコフスキー版の弦セクションの書法、ゲディケ版の金管と打楽器の扱い、そしてレスピーギ版に至ってはどう考えても "禁じ手"ばかりが並んでいる。この「パッサカリアとフーガ」は、それほどまでに編曲者の創造力をかき立てるにふさわしい素材であったのだろうか。
この疑問はまだ完全に消化されてはいないが、先達の試行を、時間をかけて自分なりに評価、整理して、少なからず参照することとした。従ってこの吹奏楽編曲は、私の他のバッハ編曲とは趣がかなり異なっている。強いて言えば、古典の近代的編曲であろうか。吹奏楽の編成が各種の編入楽器を加えた大規模なものとなっているのも、近代的な色彩を強調するためである。ただし、それらの特殊楽器がなければ演奏できない、という書きかたはしていないので、サポートしているパートの存在を確かめ、代替楽器を工夫していただきたい。
編曲は当初、埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部の依頼で書き進めた。全体の構成に沿ったオーケストレーションの流れが大切なので、全曲を書き終えたうえで、部分を抜粋、再構成して2018年度の吹奏楽コンクールで演奏された。
(森田一浩)