♪詳細情報♪
演奏時間:8分15秒(約)
グレード:3
楽曲構成:
Ⅰ.タンゴ風アルマンド (2:40)
Ⅱ.シャコンヌ風サラバンド (2:20)
Ⅲ.ハバネラ風ガヴォット (1:20)
Ⅳ.サパテアード風ジーグ (1:50)
主なソロパート: Trp.
Trp.最高音: 1st:B♭(↑) 2nd:Fis
最少演奏人数:22名
編成:吹奏楽
販売形態:販売楽譜(スコア+パート譜)
▼楽器編成▼
Piccolo (2nd Flute)
1st Clarinet in B♭*
2nd Clarinet in B♭*
3rd Clarinet in B♭*
* 各パート2名
1st Alto Saxophone in E♭
2nd Alto Saxophone in E♭
Tenor Saxophone in B♭
2nd Horn in F
1st Trumpet in B♭
2nd Trumpet in B♭
1st Trombone
2nd Trombone
Euphonium
Tuba
Snare Drum
Suspended Cymbal
Bass Drum
Castanets
Tambourine
Vibraphone
Xylophone
Chimes
♪楽曲解説♪
この作品は、小編成のバンドに、西洋音楽の楽しみを十分に追求してもらいたいと思って作曲している。この曲を学ぶことで、さまざまな知識を得ることができる。
曲の構成は次の通り。この曲の中にたくさんの仕掛けが隠されているので、ほんとうならば以下の文章は読まずに、自分でスコアの中から見つけだしてみるとよいだろう。(スコアを読みやすくするために、なるべく段数を少なくしておいた)。
冒頭8小節のベースがこの曲の主要主題。それがシャコンヌふうに何度か繰り返される。ちなみにこの部分の高音パートは、5度のカノンになっているぞ。
[25]からの低音の音階は、G.ヴェルディ作曲『4つの宗教的小品』第1曲に用いられた「謎の音階」の引用である。この全音符の音階を辿っていくと、奇妙な響きがするでしょう。
[40]からはソナタ形式。第51小節からのフルートが主題であるが、伴奏する和音の最低音の声部(第3クラリネット)は、この曲の冒頭の主題だ。
第2主題は[73]より。しかしこれは、冒頭の主題にほかならない。[92]からは自由な経過的な展開部。第97小節からのフルートは、第1主題の反行型だよ。
そして[123]から再現部(下属調)。
[155]からはフーガ。[175]からのストレッタ(主題が終わらないうちに次の主題が重なってくること)が音楽を盛り上げる。[183]からはいよいよあちらこちらで主題が重なってくるが、各パートのアクセントの音だけをとりだしてみるとこれまた主題になっているという仕掛け付。[191]からの重なり方も面白いでしょう。そうして、この曲の冒頭が[207]から再現された後、[239]からコーダとなる。
演奏に際してはまず、一人一人が綿密な楽曲分析をし、自分の役割を認識してほしい。編成は基本的には各パート1人(クラリネットは2人)であるが、バランスを調整しながら人数を増やしてもよい。またオプション楽器は必要に応じて加えることができる。大編成のバンドでは、人数を減らし、アンサンブルの練習に活用してほしい。
テンポには融通を持たせたが、それぞれのテンポの関連に留意のこと。特に[92]は遅くならないように。冒頭もあまり遅くしすぎると全体のバランスが崩れる。(実は、この作品は、演奏時間をもとに黄金分割比で全体を構成している)。また、無意味なアゴーギグをつけ過ぎないように。たとえばバッハの作品では、基本的にはテンポは変えないというのと同じように、この曲でも、ハッタリなどで演奏をごまかさず、むしろ、細部の表現に磨きをかけてほしい。とはいえ、音楽の喜びに満ちた演奏を忘れないでほしい。
この曲を全国の小編成バンドに捧げる。
(伊藤康英・作品解説より抜粋)