作曲：エドワード・グレグソン(Edward Gregson)
演奏時間：21:00（約）
編成：トランペット＆ピアノ
楽曲構成：全3楽章
1.Allegro giusto
2.Mesto
3.Vivo e brillante

Trumpet, Piano

『トランペット協奏曲』は、弦楽器とティンパニのために書かれた作品で、伝統的な3楽章構成をとっています。
作曲はデンビー・リチャーズ、1983年の作品で、ロンドンのレイン・オーケストラと指揮者ハワード・スネルによって、英国アーツ・カウンシルの支援を受けて委嘱されました。
第1楽章「アレグロ・ジュスト」はソナタ形式に基づいており、対照的な2つの主題を軸に展開されます。1つ目は鋭く力強く、リズムに富んだ動きで、角ばった印象を与えるもの。2つ目はより抒情的で内省的な雰囲気を持っています。弦楽器とティンパニは、この音楽的な対話の中でドラマティックな役割を果たし、全体の緊張感を高めています。
第2楽章もまた対比に満ちた構成で、冒頭ではオーケストラによる導入があり、第1楽章で提示された12音音列が今度はピチカートのヴァイオリンで再登場します。トランペットはそこに劇的に加わり、断片的な音楽が始まりますが、次第に滑らかな中間部へと変化し、力強いクライマックスへと導かれます。
その後、冒頭の音楽が反行形（音の上下が逆転した形）で戻ってきますが、今度はトランペットの最初の旋律が、より素朴で切ない雰囲気で再提示され、緊張が解かれます。そのまま短いカデンツァ（独奏）が始まり、ティンパニが再登場してトランペットと直接的に絡みながら、第3楽章「ヴィーヴォ・エ・ブリランテ」へと突入します。
終楽章は軽快で遊び心にあふれたロンド形式となっており、主題は陽気で上昇音型のスケールが特徴的です。間に挟まれるエピソードとしては、広がりのある旋律、主題をもとにした急速な弦楽のフーガ、そしてスケルツォ（ユーモラスな小品）などがあり、それぞれがロンド主題の再登場を際立たせています。作品は、エネルギッシュで賑やかなコーダによって力強く締めくくられます。
この協奏曲は、トランペットの持つ力強さと繊細さ、そしてオーケストラとの対話の妙を味わえる、技巧と表現力が問われる作品です。