♪詳細情報♪
▼楽器編成▼
Fl.1-2
Ob.
E.Hr.
Bsn.1-2
Contra Bsn.
Bb Cl.1-3
B.Cl.
Contra B.Cl.
A.Sax.1-2
T.Sax.
B.Sax.
Hrn.1-4
Trb.1-3
B.Trb.1-2
Euph.
Tuba
St.Bass
Piano
Harp
4 Toms
Tam-tam
Sus.Cym.
C.Cym.
Break Drum.
Chimes
Tri
♪楽曲解説♪
この曲はネバダ州立大学吹奏楽団からの委嘱作品として書かれた作品です。
「ネビュラ」という言葉を直訳すると「星雲」と出て来ます。光を放たない暗黒星雲や、光を放射する散光星雲の事を指す言葉になるようです。この曲では、それを自分なりの解釈で、宇宙の星雲と、自分の「心の星雲」を照らし合わたつもりで名付けました。
人の心は無限に広く、そして深く、まるで宇宙のような神聖さと神秘性があるように感じます。その心の中には、光を放ち明るく輝く部分もあれば、光が封じ込められ入り込む隙もないかのような暗い闇に閉ざされた部分もあります。ネビュラは、この心の真っ暗な闇の中を彷徨って、明るい出口を見いだそうともがく心(魂)の大きな旅を描いた曲です。
冒頭のエピックな部分は、立ちはだかる闇(試練)の暗黒星雲が目の前に広がる様子で、自分には太刀打ち出来ないのではないかと思う程の規模で視界を覆い尽くします。ホルン、トロンボーンさんは、非常にBrassyに、迫力ある演奏をしてみて下さい。曲の途中で所々出てくるトランペットのソロは、行き場も方向性も見失い、無気力に闇の中を彷徨う心(魂)を表現しています。
ピアノの低音とパーカッションで繰り広げる速いセクションは、狂気の部分です。人間って、暗く息苦しい所に自分をずっと押し込めていると、気が狂うと思うのですが、まさにそんな狂気をもがき駆け抜ける場面です。役にハマって演じきる感覚で、多少ヒステリックに演奏して、感情移入を楽しんでみて下さい。
後半のアダージョのような部分は、ある意味、これまで闇に対抗してもがいていた葛藤や怒りや狂気に苦しんだ部分を「諦める」,「手放す」といったプロセスに移行する心(魂)が体験する、一時の失望や悲しみだったりしますが、その感情を体験した後、まもなく新しい扉が開いて、眩しい太陽光が闇を照らすかのような大きな変革を迎え入れ、曲はダイナミックに「浄化」されていきます。ちょうど金管の低音楽器から高音楽器へ移行する、大きな岩戸が開くようなフレーズがそこです。大きな岩戸が開き、閉じ込められていた光が一気に大放出され、さらに心/宇宙は光を放ちながら明るく満ちて行きます。
スゥーッと周りが穏やかになり、最後にもう一度、トランペットのソロが入ります。このソロは、闇や重さから解放され、自ら輝きを発するようになった心を表現するかのような、新しく生まれ変わったかのような感覚で演奏してみて下さい。そして最後は、見渡す限り光に満たされた心/宇宙が、さらにその輝きを膨らませて一気に拡散して、次の明るい旅に向けて出発するような余韻と共に、この曲の最後の音を宇宙に向けて元気よく手放して下さい。
全般を通して、映画の中の役者になりきった感じで「演じて」楽しんでみて下さい。怖そうな部分は怖そうに、ヒステリックな部分はヒステリックに、悲しい部分は本当に悲しく、そしてまばゆい光が膨らむ部分は、自分のありったけの希望や喜びや、愛情なんかを大放出しながら、色んなビジョンを心に創造しながらこの曲を演じきってもらえれば、作曲者として最高に嬉しいです。
演奏後は自分の素に戻るよう、練習室やホールから外に出て、深呼吸して一休みして下さい。
Enjoy!
(鋒山亘)