
“夜想”は眠る曲にあらずー。まるで夜行性の動物のように静寂の夜を駆け抜ける列車を題材にした、穏やかさとアクロバティックさが共存する作品!
楽曲詳細情報
- 作曲
- 阿部勇一(Yuichi Abe)
- 演奏時間
- 4:30
- グレード
- 4
- 編成
- クラリネット6重奏
楽器編成
- 1st Clarinet in B♭
- 2nd Clarinet in B♭
- 3rd Clarinet in B♭
- 4th Clarinet in B♭
- 1st Bass Clarinet in B♭
- 2nd Bass Clarinet in B♭
楽曲解説
この曲は2024年9月、ソノールクラリネットアンサンブルの皆さんからご依頼いただきコンテストのために作曲致しました。ソノールさんとは2016年からのお付き合いで、「8月のパッサカリア」「フォアデュトローヌ」に続き3曲目の委嘱作品となります。
曲名の“夜想”は“夜の、、”というイメージですが、静かで穏やかなイメージを持つ“夜想曲”とは違って、「夜を突っ走る寝台列車」をイメージしました。まるで夜行性の動物のように、人が寝静まる夜にこそいきいきと活動する夜汽車と夜~夜明けの情景を描写しています。線路も見えない漆黒の世界、満天の星空の中進む一筋の列車は、宇宙を旅する銀河鉄道のようにも見えます。列車はどこへ行くのでしょうか、どんな景色が見えるのでしょうか、不思議な夜の列車の旅を空想して作曲してみました。
冒頭B♭クラリネット4本の奏でる風変わりなハーモニーは、不思議な旅の始まりを連想させます。列車の鼓動を思わせるザクザクした低音のリズムにのせたB♭クラリネットのアクロバティックな動きに気持ちが高揚していきます。乗客も寝静まったまどろむような中間部を経て、夜明けを迎えゴールめざしてひた走る列車はさらにスピードアップしてクライマックスへ向かいます。激しく怪しげな曲すぎてとても眠りにつけない寝台列車、と言われるかもしれませんが(笑)、皆さん是非聴きながら夜汽車のひとり旅を想像してみてください。バスクラリネットの最低音からB♭クラリネットの高音まで、まるでシャワーのようにクラリネットの音色を浴びて、その魅力にどっぷり浸かって頂けたらと思います。
(阿部勇一)