金管8重奏：「王様と小人」序曲／辻 峰拓【アンサンブル楽譜】

この作品はソナタ形式からなっています。短い序奏の後、トロンボーンによって第一主題が力強く呈示され、続くモデラートの第二主題は、ホルンによって神秘的な第二主題が甘美に歌われます。テンポ・プリモからは、主題が様々に展開され音楽は高揚していきます。グランディオーソで、２つの主題が同時に再現されるのがこの曲の構成上の大きな特徴で、曲はそのままエンディングを迎えます。

演奏にあたって、提示部では、２つの主題それぞれの性格の対比をつけて演奏してください。テンポ・プリモからの展開部は、リズムが複雑ですので転んでしまわないよう注意が必要です。グランディオーソからの再現部がこの作品のクライマックスです。ソナタ形式という楽曲形式を十分に理解し、再現部に向けて音楽の流れを持っていくよう、構成感を持って演奏してください。

この作品は、さいたま市立与野南中学校の委嘱により2009年９月に作曲したもので、同年11月29日に行われた、第33回埼玉県アンサンブルコンテストにおいて、同校金管８重奏によって初演されました。

（辻峰拓）