♪詳細情報♪
編曲: 黒川圭一(Keiichi Kurokawa)
演奏時間:7分30秒 (約)
グレード:3
B.Cl.最低音:Low D (実音)
編成:木管7重奏
販売形態:販売譜(スコア+パート譜)
2nd Clarinet in B♭
3rd Clarinet in B♭
Bass Clarinet in B♭
Alto Saxophone in E♭
Tenor Saxophone in B♭
Baritone Saxophone in E♭
♪楽曲解説♪
「子供の情景」作品15は、全部で13の曲からなるロベルト・シューマン(1810~1856)の代表的なピアノ作品です。特に、7曲目の“トロイメライ”は、シューマンの全作品の中でも最も親しまれている曲と言えるでしょう。
この曲が書かれたのは、シューマンが28歳の1838年のことで、のちの妻クララともまだ結婚しておらず子供もいなかった時期のことです。「子供の」というタイトルがついていますが、この曲は、子供の世界を大人の視点から綴ったもので、その点で、のちの「子供のためのアルバム」作品68のような学習的ピアノ作品とは異なる意図で作曲されたものと言えます。技術的には比較的平易に書かれていますが、極めて高度な音楽的内容と芸術的価値をもった楽曲で、シューマンの描写力や表現力が十分に発揮された傑作です。
今回は、全曲から以下の5曲を抜粋して木管アンサンブル用に編曲してみました。もともとは木管7重奏用に書かれたものですが、楽章によってはいくつかの楽器を省略することが可能です。その場合は、ほかのパートは、該当パートが示された小音符を優先して演奏するようにしてください。基本的には、7重奏で演奏されることを想定していますので、人数を減じた際に、各声部のバランスが崩れないよう十分な配慮が必要です。
1.見知らぬ人と国々について
冒頭の2小節の旋律に表れる動機によって、全曲が構成されています。
Cl.2と、B.Cl.またはB.Sax.のいずれかは省略可能です。
2.めずらしいお話し
躍動感ある曲頭部分と、9小節目からのレガートの部分との対比を美しく表出してください。
Cl.3とT.Sax.のいずれか、またB.Cl.とB.Sax.のどちらかを省略可能です。
3.鬼ごっこ
走り回るようなスタッカートの旋律が、鬼ごっこをしている子供達の様子を生き生きと描写しています。
Cl.3と、B.Cl.またはB.Sax.のいずれかを省略可。
5.満たされた幸福
高音部の旋律が、ときに他の声部で模倣されていくのが効果を上げている楽章です。
この曲では、省略できる楽器はありません。
7.トロイメライ
曲名は、ドイツ語で「夢」を表す語“Traum”から派生したもので、旋律が繰り返される度に変化していくニュアンスが、まさに夢みごごちな気分を誘います。
Cl.3とT.Sax.、B.Cl.とB.Sax.のどちらかをそれぞれ省略可能です。
曲中のテンポ表示ですが、原曲のピアノ譜につけられているメトロノーム記号は、現在一般に演奏されているテンポと著しく異なるものが多いため、編曲者によって付け直しました。また、各曲の調性は、1.2.3.5は原曲より長2度下げ、7は原調になっています。このことで、演奏上の機能性の向上を図ったほか、7楽章“トロイメライ”で1楽章と同じヘ長調に回帰する効果も企図しました。
この木管7重奏の編曲は、埼玉県・川島町立西中学校吹奏楽部の委嘱により2008年編曲したもので、同年11月16日に行われた第32回埼玉県アンサンブルコンテスト西部地区大会において、同校木管7重奏(Cl.1宇津木朱莉、Cl.2渡辺美咲、Cl.3茂木智冬、B.Cl.熊野 妙、A.Sax.岡部綾乃、T.Sax.清水友里江、B.Sax.島田未久)によって初演されました。
(黒川圭一)