『...そしてどこにも山の姿はない』（1977年）は、作曲家ジョセフ・シュワントナーがドナルド・ハンスバーガーとイーストマン・ウィンド・アンサンブルのために書き下ろした作品です。全米芸術基金からの作曲家奨励金の支援を受けて制作されました。
この作品には、増幅されたピアノ、6人の打楽器奏者、木管・金管楽器、そして7つのガラスクリスタル（オーボエ奏者によって演奏されるガラスハーモニカ）が用いられており、シュワントナーが以前から探求していたガラスの響きをアンサンブルの中に溶け込ませる試みのひとつです。
タイトルは、詩人キャロル・アドラーの詩集『Arioso』に収められた一節から取られています。
詩自体に物語的な内容はないものの、その神秘的で複雑なイメージが、作曲家に多くの音楽的アイデアと感情をもたらし、作品の創作の原動力となりました。
この曲では、演奏者が伝統的な奏法だけでなく、「天上の合唱」とも呼ばれる歌唱、口笛、ガラスクリスタルの演奏、ウォーター・ゴング、シンバルやヴィブラフォン、タムタムを弓で擦るなど、さまざまな特殊奏法を求められます。
特に打楽器群は音楽的に非常に重要な役割を担っており、ピアノとともに作品の核となる音を創り出します。その役割の重要性は、舞台上での打楽器群の配置（前方への設置）にも表れています。
この幻想的で革新的な作品は、詩人キャロル・アドラー、指揮者ドナルド・ハンスバーガー、そしてイーストマン・ウィンド・アンサンブルの優れた演奏者たちに捧げられています。