♪詳細情報♪
▼楽器編成▼
Euphonium
Piano
Piano
♪楽曲解説♪
外囿祥一郎の委嘱により、ピアノ伴奏によるアンコール・ピースとして演奏されることを前提に作曲。2005年10月、ヤマハアトリエ東京におけるマスタークラスで初演され(ピアノ:藤原亜美)、その後、吹奏楽伴奏版とブラスアンサンブル伴奏版も編まれている。
「日本の音階を用いる」「誰もが知っている旋律が出てくる」「超絶技巧の連続で盛り上がって派手に終わる」。以上が委嘱に際しての注文だったという。それに応えた中橋の筆の冴えも見事なものだ、曲中に登場する旋律は「さくら」「茶摘み」「うさぎ」。それぞれ春・夏・秋の曲だが、冬は含まれていない。「ここから“冬、刈った(とう、かった)”をもじって『とっかあた』というタイトルにした。片仮名ではなく平仮名にしているのは“なんちゃって日本”というニュアンスを残したかったため」とは、執筆活動も盛んな作曲家ならではの軽妙なコメント。
トッカータの原義は指ならしを目的とする鍵盤楽器用の即興的楽曲で、本来ならアンコール・ピースのタイトルではない。しかしこの作品の欧題は“TOCcatA”。以下、彼の文章を引用しよう。
「これは“TOC-cat A”と分解できる。TOCすなわちTable of ContentsはMDなどの内容情報一覧のこと。伝統的な曲名の中に“とある子猫(Cat A)”が踊っているのだ。ユーフォニアムという丸みをおびた迅速な猫の、様々なテクニックの見本市のような曲に聴こえれば、と思う」
[文・木幡一誠]