【販売楽譜】女声合唱曲集「ありがとうの歌」

　エントアールとは、私が駆け出しの頃から作曲・指導の両面で関わらせていただいています。金曜の朝に大阪から奈良まで通う生活を始めて、本書の出版時点で丸8年ほどになりました。
　女声合唱曲集『ありがとうの歌』は、まず2013年のエントアール第5回演奏会で「ありがとうを贈ります」を初演、2年後の第6回演奏会にて全曲初演となりました。普段から指導に携わっていることもあり、合唱団の音楽性や団員の個性に合った曲を作るとともに、いわゆる「おかあさんコーラス」世代のレパートリーとして広く歌われるようなものを…ということが念頭にありました。それゆえ、各パートの音域や旋律の動きになるべく無理がないように配慮しています。
　曲集のテーマは、様々なものに対する「感謝」の気持ちです。素直に「ありがとう」と伝えること、掛けてくれた言葉を謙虚に受け止めること、誰かに寄り添い、また寄り添われること…。合唱をするときのみならず、日々暮らしていく中でも心掛けておきたいことのように思います。柔らかく温かい眼差しのあるみなづきみのりさんの言葉に、私も寄り添うように作曲ができたのではないかと思います。
　初演時には、曲にまつわる短い朗読を添えて演奏しました。皆さんが演奏される際、朗読の有無は任意といたしますが、ステージ演出の一環として挿入するのは効果的です。もちろん、朗読なしで演奏しても十分にお楽しみいただけると思います。
　初演に際しては、指揮・作詩の両面でご尽力いただいた伊東恵司（みなづきみのり）さん、作品をよく研究して取り組んでくださったピアノの矢吹直美さん、愛情を込めて一生懸命歌ってくださったエントアールの皆さんに心より感謝申し上げます。

2019年4月　北川　昇