教えて!中部方面音楽隊のみなさん!【小編成選曲編】
注目の小編成作品!参考演奏をしていただいた陸上自衛隊中部方面音楽隊様より選曲アドバイスが到着!どんな作品なのか是非チェックしてみてください♪
中部方面音楽隊プロフィール
昭和27年12月、第3管区総監部音楽隊として発足。昭和35年1月、方面管区制の施行に伴い方面総監直轄部隊として中部方面音楽隊が編成完結し、同年1月、奈良県橿原市にて中部方面音楽隊として初の演奏会を行う。以後、中部方面隊が防衛・警備を担任する近畿・東海・北陸・中国・四国の2府19県を活動範囲とし年間約100回に及ぶ演奏活動を行う。
隊員の士気高揚、自衛隊の儀式、広報のための演奏を主任務とし、これまで東京オリンピック、日本万国博覧会(大阪万博)、昭和天皇大喪の礼等の国家的行事、その他各府県市町村及び諸団体の要請による公共的行事に参加している。また、定期演奏会、室内楽演奏会、ファミリーコンサートなどの各種演奏会を主催するなど、中部方面隊の象徴としてその活動を幅広く広報するとともに、レコード会社からの依頼によるCDの録音協力、学生に対する演奏指導も精力的に行っている。
近年では、多数メディアへの出演やYouTubeでの動画配信にも積極的に取り組み、中部方面隊と地域の皆様を結ぶ架け橋として「心に響く音楽を奏でられる音楽隊」を目指し日々活動している。
稲穂の波(小編成版)/福島弘和
流れるような木管楽器の旋律や、テンポ・強弱の移り変わりが多くあることから、稲穂が風になびいている姿や、太陽の光を浴びて輝いていたり、また、雨風に打たれ荒れたりする情景などが連想されました。
オーボエパートは全体を通して、フルートとクラリネットとのユニゾンが多いので、音程や音色を合わせることを意識しました。また、8分の6拍子は音の長さが曖昧になりやすいので、2拍3連や付点の長さ、タイの長さに注意しました。pで演奏する際は小さく吹くというより、息を入れて音を響かせて音色を豊かにする意識を持つと他のパートと融合すると思います。田園風景の様々な表情を想像し、美しいメロディーやハーモニーを味わいながら演奏してみてください。
Gr:3.5/Time:5:30
遠い空の向こう/広瀬勇人
この曲には、冒頭と中間部にピッコロのソロがあります。私はこのピッコロのソロを武田信玄の娘「松姫」と解釈し演奏しました。例えば、冒頭は松姫と織田信長の嫡男・信忠が文通で心を通わせているかのように、ピッコロの旋律にクラリネットが重なり、次第にメロディが広がっていきます。[K]からのソロにはRubatoとあります。テンポ通り吹くのではなく、少しためてみたり、逆に早めてみたりしてしっかり歌ってください。ただし3小節目からは伴奏の入りとタイミングをそろえましょう。そして[L]に向かうにつれ決然とした音色で吹くと良い流れが作れます。
譜面は連符が多いので難しく感じてしまうかもしれませんが、イメージがあると気持ちを込めた吹き方ができるのではないでしょうか?メロディックに歌うことが大事だと思います。ぜひチャレンジしてみてください。
Gr:3.5/Time:8:00
幸せの魔法~Happiness depends upon ourselves/野呂 望
この曲は、『幸せの魔法』というタイトルにもある通り、聴いている人はもちろん、演奏者の心にも「幸せの魔法」をかけてくれるとても素敵な楽曲です。
前奏は繊細で美しいメロディーで始まります。フルートは最後に加わるので、前の雰囲気を壊さずにキラキラとした音で入れるよう意識しました。主題のメロディーは弾むように楽しく、中間部のメロディーは横の流れを意識して、しっとりと歌うことで対比が出せると思います。
フルートソロの部分は、2本のフルートで「幸せの魔法」をかけるイメージで演奏しました。この部分は伴奏も弱くなるので、美しい音で伸び伸びと吹けると思います。ソロの終わりにはクレッシェンドが2回あるので、tuttiへ向けて華やかに盛り上げられると、フィナーレまで爽快に駆け抜けることが出来ると思います。
Gr.3/Time:7:00
七彩丹霞(しちさいたんか) ~東洋のグランドキャニオン/八木澤教司
初めてスコアを見たとき、八木澤さんらしい美しい旋律だと思いました。曲は緩~急~緩の3つの部分から構成されています。
作曲者のコメントの中に「鳥になった気持ちで様々な角度から旅する冒険ストーリー」とありますが、まさに冒頭は、広大な大地を空中から見渡すような広さを感じる部分です。フレーズを長く意識して演奏すると雰囲気が出ると思います。しかし、遅くなりすぎないように音楽を前へと運んでください。
[C]からのテンポの早い部分には「Feroce(荒々しく)」と書かれていますが、単に激しいだけではなく「広大なカルスト地形(赤い堆積岩の美しい縞模様のある地層)」を表現していると解釈し、力強くはっきりとした演奏を心がけアグレッシブ感を表現してみました。[G]からのベルトーンの部分も色彩感を感じて演奏するとより楽しい演奏になると思います。
Gr.3/Time:5:50
受け継がれゆくもの/和田直也
今回、「受け継がれゆくもの」を演奏した際に私が注意した部分を書いておきます。
全体を通して、ゆっくりした部分も速い部分も曲の流れを大切にすると良い演奏になると思います。速いテンポの部分の旋律はシンコペーションを多用していますので、音楽に乗り遅れたような演奏にならないように注意しましょう。[E]の4小節前からと[O]からの旋律はマルカートとは書かれていませんが歯切れよく演奏すると曲が締まります。
また、この曲は多くの転調があるため、転調する前の調性感を意識して演奏しました。その中で[F]の4小節前からのニ長調に転調する部分は特に注意して演奏しています。
とても楽しい曲ですので、是非ノリノリで演奏してみてください。
Gr.3/Time:5:40
吹奏楽のための「風之舞」/福田洋介
この曲は、リズム・フレーズ感を揃えることが重要になります。
冒頭~[F]は8分音符をバンド全体で共有し、旋律が自然と流れていくように意識してください。音の立ち上がり、強弱を明確にすると各パートの音色がクリアに聞こえてくると思います。
[P]~[K]の中間部は長いフレーズを感じて演奏しましょう。次の音へ繋いでいくイメージを持ち、ブレス前の音の処理が短くならないようにすると効果的です。また、rall.の箇所は音圧が落ちないように意識してください。
[K]以降は前半の再現部とクライマックスになりますが、より熱狂的に演奏することを心がけてください。その際、音楽が前に進みすぎないように注意しましょう。管楽器と打楽器がテンポを共有し、決め所を逃さない事が演奏上のコツとなります。
曲全体を通じて、1つの浮世絵を完成させるイメージで演奏していただければ“和”のテイストを感じる音楽に近づけると思います。
Gr.3.5/Time:5:00
白のトワイライト/江原大介
今回、「白のトワイライト」を演奏するにあたり、全体的にスピード感を持って演奏していますが、[J]~[L]はあえてテンポを遅くしてどっしりと演奏しています。
打楽器パートは、パート譜に書いてあるリズムや強弱だけに捉われず、全体の響きをよく聞いて、音色や音のスピードをイメージする事が大切です。この曲では、管楽器と同じ動きが多いので、スラーやスタッカート、アクセントなどを意識して、実際に口で歌いながら演奏してみましょう。歌うことで、音色やスピード感がよりイメージしやすくなります。また、シンバルやスネアでリズムを刻む箇所は、積極的にバンドをリードすると、よりスピード感のある演奏になります。
練習の際は、スコアの活用が効果的です。スコアにはアーティキュレーションなど、たくさんのヒントが書いてありますよ!
Gr.3/Time:4:20