なにわオーケストラルウィンズ2009 (Live at The Symphony Hall & Tokyo Metropolitan Theatre, 2009)がデジタルリリース!
2008年の公演から1年、あの時の雰囲気、演奏が始まるのを心待ちにする聴衆、1年ぶりに会場に入った瞬間に昨年の記憶が蘇る。
私はなにわ《オーケストラル》ウィンズの開演前の雰囲気がとても好きだ。奏者の方々が自由に音出しをしたり会話をしたり、そしてそれを覆うように聴衆のざわめきがする・・・目を閉じるとそれが既に私には音楽に聴こえ、とにかくワクワクする。開演、割れんばかりの拍手に迎えられ丸谷明夫先生が登場し、会場の空気が一瞬にして変わる。そして期待と興奮にすべて応えた音が奏でられる。その音の「1つ1つに感動し、ただただ聴き入ってしまう。さらに演奏されるどの作品も私の想像を遥かに越えた音楽表現で作品に新たな生命が吹き込まれるのが手に取 るように見える(聴こえる)。音楽を言葉で説明するのは難しい。“なにわ”の公演で良く言われるのは耳だけで聴く演奏会では無いという部分である。音を視て感じる部分がたくさんある。指揮者、奏者の表情、そして演奏に対する真摯な姿勢、これはまさに実際演奏会に行かないと聴けない『音』だと思う。さらに忘れてはいけないのが丸谷先生の曲間のトークである。会場を笑いに包み、聴衆に語りかける事によって奏者と聴衆の距離が一瞬にして縮む、決して肩に力が入る演奏会にならないのである。しかし普段は国内のプロフェッショナル・オーケストラの第一線で活躍する奏者の方々が本気で、しかも新しい吹奏楽の響きを作ろうとしている姿は本当に素晴らしい事であると共に感動する。私は“なにわ”を聴いて確実に音楽観が変わった。作品を産み出す人間として何か一つの使命感を持ったような気がする。昨年『夢のような庭』という作品を書かせて頂いた。開演前から各奏者が音出しをしていて気付いたら曲が始まっているという仕掛けをした。大阪公演で初演した時、恥ずかしながら涙が出てしまった。それはもちろん自分の作品に涙したのではなくこんなに素晴らしい指揮者、奏者の方々の演奏会のスタートに作品として関われた事、自分の作品が初めて音として視えた事、忘れられない瞬間であった。今後も私は一ファンとして、陰ながら最大限に応援したいと思う。“生”でしか味わえない感動がある“なにわ”の演奏会、今回このCDを聴いてきっと言葉にならない“何か”を感じるはずである。もしまだ体験していない方がいらっしゃれば是非演奏会に足を運んで欲しい。きっと「ようこそ、夢のような庭へ」と迎えてくれるはずである。
-清水大輔(作曲家)
デジタル配信曲
【演奏】なにわ《オーケストラル》ウィンズ【客演指揮】丸谷明夫/須藤卓眞
- セドナ
- スティーヴン・ライニキー
- コロニアル・ソング
- パーシー・グレンジャー
- 水上の音楽
- マルコム・アーノルド
- I Allegro maestoso
II Andantino
III Vivace - 交響組曲
- クリフトン・ウィリアムズ
- I Intrada
II Chorale
III March
IV Antique Dance
V Jubilee - 聖歌と祭り
- ウィリアム・マクベス
- 東洋と西洋
- カミーユ・サン=サーンス
- オセロ
- アルフレッド・リード
- I Prelude Venice
II Aubade Cyprus
III Othello and Desdemona
IV Entrance of the Court
V The Death of Desdemona ; Epilogue - カンタベリー・コラール
- ヤン・ヴァンデルロースト
- ヤッターマン変身+ヤッターマン Brass Rock
- 山本正之(編曲:郷間幹男)