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『女声合唱版初演プロジェクト・リレーコラム』第1回:こんな「委嘱」もあるんです/森山至貴

「女声合唱団ぱるらんど」第1回定期演奏会にて初演される『太陽と海と季節が/女声合唱版』。これから初演に至るまでのあれやこれやを、作曲の森山至貴さん&指揮者の石橋遼太郎さんによるリレーコラムで紹介していきます!

女声合唱ぱるらんど 第1回定期演奏会
2025年4月19日 @国立オリンピック記念青少年総合センター 大ホール

2024年11月28日

混声合唱組曲『太陽と海と季節が』ができるまで・・・

 実は、『太陽と海と季節が』のオリジナル混声版は合唱団から直接委嘱されてできた作品ではありません。私に新曲の依頼をしたのは、合唱団ではなくブレーン株式会社のHさんという編集者でした。出版社主導で合唱曲の出版企画を進めたい、ついては合唱団とお繋ぎするので新曲を書いてほしい、という依頼だったと記憶しています。

 変わったこと、面白そうなことにすぐに飛びつく私は二つ返事でお引き受けしたのですが、その後に猛烈なプレッシャーが襲ってきました。

 合唱団からの作曲家への委嘱は、合唱団の意思に基づく、いわば作曲家と一蓮托生となる覚悟(というと大げさでしょうか)のうえの営みですが、この企画の場合、合唱団からすると、どこの馬の骨かもわからない作曲家のまだ影も形もない新作をおたくの合唱団で初演してください、と急に聞かされることになるわけです。「つまらない新曲を押し付けられた」と合唱団のみなさんが感じることになったらどうしようと、最初の一音を書く前から怖気付いてしまいました。

 ということで、いつもどおり真剣に作曲に向き合うだけでなく、合唱団の方に私のやる気もきちんと見せなければ!と考え、企画が動き出すとかなり早いペースで作曲を進めました。2週間ごとにどんどん新曲が送られてきて驚いた、と初演指揮者の名島啓太さんがおっしゃっていたのをよく覚えています。今から考えると、なんだか妙な焦りに突き動かされて作曲していた気もして、「もっと落ちつけ」と当時の自分に言ってやりたい気もしますが。

 その作戦が成功した…わけではないでしょうが、混声合唱団鈴優会のみなさんによる初演は曲への共感に溢れた本当に素晴らしいもので、作曲者として本当に安堵したことを覚えています(初演の模様はこの記事の最後のリンクからどうぞ)。その後、大学合唱団を中心に多くの方にこの作品を愛していただき、私の作品の中でもっとも演奏される合唱組曲になったのは、間違いなく鈴優会のみなさんのおかげです。ありがとうございます(そして出版譜では『太陽と海と季節が』は合唱団の委嘱によることになっています。ご寛恕、いただけますでしょうか…)。

出版から10年。動き出した女声合唱版初演プロジェクト・・・

 さて、来年4月に控えた『太陽と海と季節が』女声版初演ですが、実はこれも編集者のHさん立案の企画、合唱団との引き合わせによるものです…ということで、初演していただく女声合唱団ぱるらんどのみなさんが「つまらない曲を押し付けられた」と思っていたらどうしよう、となんだか不安になってきました。石橋さん、ピアニストの岩本果子さん、そしてぱるらんどのみなさん、『太陽と海と季節が』女声版、気に入っていただけていますでしょうか…(汗)。(編集部註:森山さんは既に脱稿済み!)

 思い出と冷や汗の話に終始してしまったので、引き続き私が担当する次回は、混声合唱曲を女声合唱曲に仕立て直す際の苦労について書きたいと思います。お楽しみに。

鈴優会の団員の方がお描きになった似顔絵を 初演後のレセプションでプレゼントしてもらいました。
ふだんは玄関に飾ってあります。

次回は12月下旬公開予定!

混声合唱団鈴優会(指揮:名島啓太先生)による演奏はこちらから!

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