ウェザー・リポート／髙橋伸哉【吹奏楽ライセンス楽譜】

この作品は、長野県松本市立丸ノ内中学校吹奏楽部の依頼を受けて作曲した小編成吹奏楽作品で、2010年度の長野県吹奏楽コンクール中信大会において初演されました。

作曲にあたる際のひとつの試みとして、同校吹奏楽部の生徒たちから曲のタイトルやイメージ、内容などを募ってみることにしました。数多くのアイデアが集まりましたが、その中に天気に関するタイトルやイメージが多いことに気が付きました。そこで「天気」をテーマとすることとし、作曲したのが本作品「ウェザー・リポート」です。

曲全体は、ウェザー・ニュース番組をイメージして作りました。冒頭の番組オープニング曲に続き、お天気キャスターが今日１日の天気予報を伝え始めます。

『今日は朝から青空が広がり(27小節目～)、午前中はさわやかな晴天となるでしょう。しかし昼ごろには曇り空となり(94小節目～)、ところどころで弱い雨が降り始めるでしょう(102小節目～)。雨は徐々に強さを増し(poco a poco cresc.)、午後は広い範囲で激しい雷雨となる見込みです(111小節目～)が、夕方ごろには雨雲も去り、美しい夕焼け空となるでしょう(149小節目～)。以上、今日のお天気をお伝えしました(番組エンディング曲：165小節目～)。』

この作品では、順次進行による上行音型(a)と、順次進行＋４度跳躍進行による下行音型(b)の２つが主要モティーフとなって、主旋律はもちろん、合いの手や対旋律、伴奏音型などが作られています。

なお本作品は、クラリネットやトランペット、ホルン、トロンボーンに3rdパートが無い小編成作品ですが、オーボエやバス―ン、コントラバスが編成に含まれており、それぞれはわずかながらもソロなどの単独の役割を担っています。しかし、それらにはすべて他のパートによる代替が記されていますので、もしそれらの奏者がいなくても演奏は十分に可能です。また、149小節目からのホルン・ソロは、ホルン1st&2ndによるホルン・ソリでもかまいません。

演奏にあたっては、曲想(天気)の変化を的確に捉え、豊かな情景描写を心掛けて演奏してください。

（髙橋伸哉）