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楽曲詳細情報
- 作曲
- 阿部勇一(Yuichi Abe)
- 演奏時間
- 7分00秒(約)
- グレード
- 3.5
- 主なソロパート
- Picc. / Fl. / Ob. (or B♭Cl.) / Timp.
- Trp.最高音
- 1st / G 2nd / Ges 3rd / Dis
- 演奏最少人数
- 20名
- 編成
- 吹奏楽(小編成)
楽器編成
- Piccolo
- Flute
- Oboe (opt.)
- B♭Clarinet 1 & 2
- Bass Clarinet
- Alto Saxophone 1 & 2
- Tenor Saxophone
- Baritone Saxophone (opt.)
- Trumpet 1 & 2
- Trumpet 3 (opt.)
- Horn 1 & 2
- Trombone 1 & 2
- Euphonium
- Tuba
- String Bass (opt.)
- Chorus (Alto 1,2)
- Percussion ※4 players~
- Timpani
- Shimedaiko (締太鼓
- or High Bongo)
- Bass Drum
- Crash Cymbals
- Suspended Cymbal
- Tam-tam
- Sleigh Bells
- Claves
- Glockenspiel
- Xylophone
- Vibraphone
- Marimba
楽曲解説
この曲は三重県桑名市立正和中学校吹奏楽部の委嘱により作曲されました。緩急交えた3つの部分から構成され、和の情趣と色彩が散りばめられた曲調となっています。近年、日本の伝統的な『折紙』がその価値を見直され海外などでも愛好されているといわれます。中でも千羽鶴というと一羽一羽の鶴に糸を通して一連とする豪華なものですが、桑名に伝承される千羽鶴はちょっと違うようで、一枚の紙から複数の連続した鶴を折り出すという独特の技法を用いた『連鶴』なのです。
この連鶴の歴史は江戸時代にまで遡ります。長圓寺の住職魯縞庵(ろこうあん)義道(1762~1834)という人物が、2羽からなんと最高97羽の鶴を一枚の紙から切込みを入れて繋いでいくという技法を編み出しました。これは『桑名の千羽鶴』と名づけられ、桑名市の無形文化財に指定されています。義道は18年という歳月をかけてこの神業ともいえる偉業を成し遂げました。これは、もはや単なる装飾品の域を超えた極めて高度で崇高な芸術だと言えるでしょう。彼は100種類もの折形を考案しましたが、寛政9年(1797)に刊行された『秘伝千羽鶴折形』にはそのうちの49種類が掲載されています。私はその中から「巣籠」「百鶴」「青海波」と名付けられた3つの折形にスポットをあて、空想し、音楽に投影しました。
それぞれのイメージは次の通りです。
Ⅰ.巣籠(すごもり)…わが子を抱く親鶴。子守唄のように。
Ⅱ.百鶴(ひゃっかく)…たくさんの鶴が華麗に舞う様子。
Ⅲ.青海波(せいがいは)…晴れた日、きらめく波の上を飛んでゆく鶴の群れ、穏やかで希望に満ちた、美しい光景。
この曲を通して「日本の美」の素晴らしさを再認識していただければ、これほど嬉しいことはありません。
(阿部勇一)