交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28/R.シュトラウス(森田一浩)【吹奏楽ライセンス楽譜】
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- ブレーンミュージック / Brain Music
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宅配スコア閲覧:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28
♪詳細情報♪
編曲:森田一浩(Kazuhiro Morita)
演奏時間:15分30秒 (約)
グレード:5
調性:原調(冒頭d:)
主なソロパート: Fl. / E♭Cl. / B♭Cl. / Hrn.
Trp.最高音:1st:High H / 2nd:A / 3rd:A
編成:吹奏楽
▼楽器編成▼
Fl.1 & 2
Oboe 1
Oboe 2 (doub. English Horn)
Bassoon 1
Bassoon 2
(doub. Contra Bassoon)
E♭Clarinet
B♭Clarinet 1 & 2
Alto Clarinet
Bass Clarinet
Contrabass Clarinet
Soprano Saxophone
Alto Saxophone 1 & 2
Tenor Saxophone
Baritone Saxophone
Horn 1 , 2 , 3 & 4
Trombone 1 & 2
Bass Trimbone
Euphonium (div.)
Tuba (div.)
String Bass (div.)
Percussion ※7 players~
Tenor Drum
Bass Drum
Crush Cymbals
Suspended Cymbal
Triangle
Rattle
Glockenspiel
Xylophone
Vibraphone
Marimba
♪楽曲解説♪
作品の題材となった「ティル・オイレンシュピーゲル」は、北ドイツに伝わる伝説の奇人で、かつて人々が口伝えに物語ってきた彼の生涯は、15世紀に民衆本「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」にまとめられ、出版されました。ティルは様ざまないたずらで人々を翻弄しましたが、一方では教会や権力者をからかい、遍歴職人(放浪修行中の手工業職人)たちの尊大な親方にウィットに富む仕返しをするなど、民衆のストレス解消となるようなエピソードの主人公でもあったのです。
リヒャルト・シュトラウスは初め、この伝承物語を元にオペラを作曲する計画を立てましたが、自ら手がけようとした台本の執筆段階でつまづき、最終的には管弦楽作品として1895年に完成させました。〈大昔のいたずら者の物語によるロンド・スタイルの交響詩〉という副題を持つこの作品は、初演時から大成功をおさめ、現在でもシュトラウスが作曲した7曲の交響詩の中で、もっとも演奏の機会が多い作品となっています。
提示部:ゆったりとした序奏〈昔むかし、あるところにいたずら者がいたとさ…〉に続いて、ホルン・ソロによる有名な“ティルの主題”〈その名もティル・オイレンシュピーゲル!〉と、E♭クラリネット・ソロ(原曲ではD管)によるティルの“笑いのテーマ”〈それはそれは、ひどいいたずら者だった〉の、2つの印象的な旋律が演奏されます。
展開部:2つの主要なテーマを発展させる中で、伝承物語に登場する4つのエピソードが描かれます。第1エピソード(第133小節~)は〈市場につながれた牛馬を解き放し、大騒ぎを巻き起こしたティルは、空を飛ぶ長靴をはいて遁走する。そしてネズミの巣穴に隠れて様子をうかがう〉。第2エピソード(第179小節~)は〈僧侶に変装し、でたらめな説教を垂れるティル〉。第3エピソード(第209小節~)は〈騎士に変装して美しい淑女に言い寄るが、あっさりと袖にされるティル。怒った彼は、全人類への復讐を誓う〉。第4エピソード(第293小節~)は〈最初の標的を俗物的な学者たち定めたティルは、彼らに荒唐無稽な論争をふっかける。しかし次第に旗色が悪くなり、鼻歌まじりに逃げ出していく〉。
再現部:ホルンによる“ティルの主題”が回帰しますが(第429小節~)、依然としていたずらが続くように展開します。そして最高潮を迎えた直後、激しいドラム・ロールによって音楽が中断され、ティルの逮捕が描写されます。
コーダ:(第573小節~)〈最初はあざけってみせるが、次第に死の恐怖におびえるティル〉。そして死刑の判決がおり、ついには刑場の露と消える運命をたどります(伝承のティルはペストで病死したとされています)。最終近くの「エピローグ」(第632小節~)は冒頭の緩やかな部分の再現ですが、ティルの物語がこれからも受け継がれていくであろうことを予感させるような、実に印象的なエンディングです。
この吹奏楽版は、リヒャルト・シュトラウスの作品に造詣の深い埼玉県立伊奈学園総合高等学校・宇畑知樹先生の依頼によって、2009年4月に編曲しました。原曲がそうであるように、各楽器間のバランスとコントラストの妙が吹奏楽版にも活かされているため、演奏には高度な技術が必要です。しかも、そうした技術的なハードルを越えてこそ、シュトラウス流のユーモアやウイットの洪水を表現することが可能になるのです。同年5月3、4日に開催された伊奈学園吹奏楽部第24回定期演奏会における初めての演奏は、難曲であるにもかかわらず、大変にすばらしいものであったことをつけ加えておきます。
なお、テューバ・パートはE♭バスの併用を前提に書かれています。テューバのみで演奏する場合は、適宜、オクターヴの高音を削ってください。
(森田一浩)