組曲〈展覧会の絵〉/M.P.ムソルグスキー(中橋愛生)【吹奏楽ライセンス楽譜】
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- YDAM-E02
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- ブレーンミュージック / Brain Music
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宅配スコア閲覧:組曲〈展覧会の絵〉
♪詳細情報♪
編曲:中橋愛生(Yoshio Nakahashi)
演奏時間:32分00秒 (約)
【楽曲構成】
第1プロムナード Promenade [1:30]
Ⅰ. こびと Gnomus [2:30]
第2プロムナード Promenade [1:00]
Ⅱ. 古城 Vecchio castello [4:50]
第3プロムナード Promenade [0:30]
Ⅲ. テュイルリー(遊んだ後の子どものけんか) Les Tuileries (Dispute d'enfants apres jeux) [1:00]
Ⅳ. ビドロ Bydlo [3:00]
第4プロムナード Promenade [0:50]
Ⅴ. 殻をつけた雛鳥の踊り Ballet of the Little Chickens [1:15]
Ⅵ. サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ Samuel Goldenberg und Schmuyle [2:20]
第5プロムナード Promenade [1:30]
Ⅶ. リモージュ 市場 (重大なニュース) Limoges, Le marche (La grand nouvelle) [1:30]
Ⅷ. カタコンブ (ローマ時代の墓) Catacombac (Sepulcrum romanum) [1:50]
死せる言葉による死者への呼びかけ Cum mortuis in lingua mortua [2:10]
Ⅸ. 鶏の脚の上に建つ小屋 (バーバ・ヤーガ) The Hut on Hen’s Legs (Baba-Yaga) [3:40]
Ⅹ. キエフの大門 The Heroic Gate (in the Imperial City of Kiev) [6:20]
グレード:5
調性:原調 (Piano独奏版)
主なソロパート:Bsn. /B.Cl. /Trb.
Trp.最高音:1st-4th:High B♭ / 5th:As
編成:吹奏楽
▼楽器編成▼
Flute 1 & 2
Oboe (1 Player~)
Bassoon (1 Player~)
Contra Bassoon (opt.)
E♭Clarinet (1 Player~)
B♭Clarinet (6 Players~)
Bass Clarinet (1 Player~)
Contrabass Clarinet (opt.)
Soprano Saxophone (1 Player~)
Alto Saxophone 1
Alto Saxophone 2 (opt.)
Tenor Saxophone (1 Player~)
Baritone Saxophone (1 Player~)
Horn (4 players~)
Trombone (3 players~)
Euphonium (1 Player~)
Tuba (2 Players~)
String Bass (opt.)
Piano
Snare Drum
4 Tom-toms
Bass Drum
Crash Cymbals
Suspended Cymbal
Tam-tam
2 Triangles
Tambourine
2 Wood Blocks
Keyboard Harmonica
Chain
2 Whistle
2 Slide Whistle
Moku-Sho (木鉦)
Glockenspiel
Xylophone
Vibraphone
Marimba
Tubular Bells
♪楽曲解説♪
<この編曲について>
「展覧会の絵」については、今さら解説を付すまでもないだろう。原曲はピアノ独奏曲であり、多くの人物による管弦楽編曲(特にモーリス・ラヴェル版)によって広く知られている。
吹奏楽でも演奏機会は多いが、そのほとんどはラヴェル版をトランスクリプションしたもの。今回はそうではなく、ピアノ独奏版から直接、吹奏楽に編曲したもので、吹奏楽でしか表現しえない色彩を目指した。同様に吹奏楽独自の編曲を行なったものでは他にジョン・ボイド版や高橋徹版、林光版などがあるが、それらとの解釈の違いも楽しんで頂けると幸いである。
編曲に際しては、いわゆる原典版と呼ばれるピアノ独奏のための楽譜を参考にした。ラヴェルによる管弦楽版はリムスキー=コルサコフによる改変が行なわれたピアノ譜を参考にした、というのはよく知られている。そのため、原典版に基づいた結果、主にダイナミクスにおいて大きな相違が見られよう。また、部分的にウラディミール・ホロヴィッツの解釈や装飾を取り入れている。ホロヴィッツによるピアノ演奏は、この曲が広く知られるようになったきっかけとして知られるもので、それに対する一種のオマージュである。
以下、各曲における編曲上の意識を綴る。
<第1プロムナード>
ホロヴィッツへのオマージュ。原典版にはダイナミクスの変化は記されていないが、ホロヴィッツの解釈に倣って付加している。
<こびと>
冒頭の動きでピアノ他に見られるのはホロヴィッツ版の改変。他にも随所でホロヴィッツ版の装飾を組み込んでいる。
<第2プロムナード>
シンプルな音色グループの推移を軸に、若干のエコーを追加。
<古城>
唯一、タイトルがイタリア語で記された曲。「中世の城の前で歌う吟遊詩人」とのことだが、原曲の歌の音域は男声には高い。そこで、より「吟遊詩人の歌」に近づけるため、原曲より1オクターヴ下げた。一般にモデルとされた絵は「チェルノモールの城」だとされているが、團伊玖磨はフランスの古城を描いた「ペリギューの風景」ではないかと述べている。ここでは後者を採り、フランスのシャンソンの香りを加味するためアコーディオンの模倣も行なった。
<第3プロムナード>
重々しいロシアの鐘をイメージ。
<テュイルリー>
一貫したリズムに重心の変化を与えた。また、「けんか」のためにモチーフ間の性格の対比を明確に。
<ビドロ>
タイトルはポーランド語。「牛車」とのことだが、題材となった絵は発見されていない。「ビドロ」には「家畜のように虐げられた人々」という意味もあり、圧政に苦しむ民衆を描いた「ポーランドの反乱」が題材ではないか、との説がある。これが本当かは分からないが、その説を採った。終始、抑圧された強さを持たせることを留意。リムスキー=コルサコフ版(およびそれを参考としたラヴェル版)はピアニシモで開始されるが、原典版はフォルテシモで開始される。
<第4プロムナード>
折り重なるフレーズ群に堆積形のオーケストレーションを。
<殻をつけた雛鳥の踊り>
「雛鳥」は複数形。そこで、たくさんの雛鳥が駆け回る錯綜感を出すことを心掛けた。コーダの直前の2小節間はラヴェル版ではカットされていたが、今回は採用。「金持ち」と「貧乏」の対比も勿論だが、「貧乏」の内部でのフレーズ間の対比も心掛けた。
<第5プロムナード>
第1プロムナードとよく似ているためか、ラヴェル版ではカットされたもの。今回はラヴェルへのオマージュ。ラヴェルが第1プロムナードに付したアーティキュレーションは独特だったが、今回それを強調している。
<リモージュ 市場>
とにかくゴチャゴチャしているので、特定のモチーフには決まったオーケストレーションを与えることで「発言者」を明確にして対話(けんか)させた。ラストには「ウェスト・サイド・ストーリー」よろしく警官が登場。
<カタコンブ>
移ろいゆく和音の陰影関係に留意。途中の葬送ラッパには、西洋の葬儀のときの風習に倣ってベルを黒い布で覆うように指示されている。
<死せる言葉による死者への呼びかけ>
16 分音符で刻むピアノはホロヴィッツ版による。
<鶏の脚の上に建つ小屋>
雷鳴や稲光など、雷のイメージ。
<キエフの大門>
tutti によるフォルテに段階を持たせることに留意。後半は壮大なカンパノロジーを目指した。終盤はラヴェル版と同様に、大編成での強奏に耐えうるよう小節構造を拡大している。
(中橋愛生)