スタンダード・マーチ集/監修:後藤 洋、編曲:福島弘和・高橋宏樹【吹奏楽販売楽譜】

- 在庫
- 在庫あり
- 商品コード
- MRMS-86501
- JANコード
- 4995751827067
- メーカー
- ブレーンミュージック / Brain Music
詳細情報
- 監修
- 後藤 洋(Supervisor Yo Goto)
- 編曲
- 福島弘和・高橋宏樹(Arranger Hiroki Takahashi / Hirokazu Fukushima)
- 編成
- 吹奏楽
収録作品
- Ⅰ:カーリッジ・マーチ Courage March
作曲:ハロルド・ベネット/編曲:高橋宏樹 - Ⅱ:アラモ・マーチ Alamo March
作曲:カール・キング/編曲:福島弘和 - Ⅲ:ワシントン・ポスト The Washington Post March
作曲:ジョン・フィリップ・スーザ/編曲:福島弘和 - Ⅳ:アンパリト・ロカ Amparito Roca
作曲:ハイメ・テキシドール/編曲:高橋宏樹
作品詳細
Ⅰ:カーリッジ・マーチ Courage March
▶ スコアPDF閲覧はこちら作曲:ハロルド・ベネット/編曲:高橋宏樹
演奏時間:2:10 グレード:2 演奏最少人数:13名
マーチをはじめとするさまざまな吹奏楽のための作品を遺したヘンリー・フィルモア(1899-1981)は、作品の内容やスタイルに応じていくつかのペンネームを使い分けていた。“ハロルド・ベネット”はそのひとつで、よく知られた《ミリタリー・エスコート》をはじめとする教育的な作品にこの名が使われている。
この《カーリッジ・マーチ》は、ラリー・クラークによって現代のスクール・バンドのためにアレンジされてカール・フィッシャーから出版され、多くのアメリカのバンドに親しまれてきたが、今回高橋宏樹によって日本の小編成バンドのためにあらためて編曲された。スコアの楽器名が斜字体になっている楽器――第2クラリネット、バリトン・サクソフォーン、第2トランペット、第2ホルン、第2トロンボーン、ティンパニ、グロッケンシュピール――が省略可能なオプショナル楽器で、それらを除けば13名から演奏可能である。
スタイルと形式はきわめてオーソドックスである。旋律は順次進行が中心で、同じモティーフが繰り返し使われており、そのため演奏はきわめて易しいが、第2マーチやトリオに使用されている半音階の動きは特徴的だ。Courage=勇気のタイトルが示しているように、強い決意が感じられるような、堂々とした演奏が望まれるものの、繰り返しが単調にならないように、音量やアーティキュレーションのコントラストやバランスを工夫することも演奏上のポイントとなるだろう。
楽器編成
-
- Flute
- 1st Clarinet in B♭
- 2nd Clarinet in B♭(option)
- Bass Clarinet in B♭
- Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭
- Baritone Saxophone in E♭(option)
-
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭(option)
- 1st Horn in F
- 2nd Horn in F(option)
- 1st Trombone
- 2nd Trombone(option)
- Euphonium
- Tuba
-
- Timpani(option)
- Snare Drum & Bass Drum
- Crash Cymbals
- Glockenspiel(option)
Ⅱ:アラモ・マーチ Alamo March
▶ スコアPDF閲覧はこちら作曲:カール・キング/編曲:福島弘和
演奏時間:2:10 グレード:2.5 演奏最少人数:16名
スーザと並んでアメリカのマーチ作曲家を代表する存在で、とりわけ《バーナム&ベイリーのお気に入り》などのサーカス・マーチで親しまれているカール・L. キング(1891-1971)が、スクール・バンド向けに書いた作品。これまでアメリカではジェイムズ・スウェアリンジェンがアレンジしたC. L. バーンハウス版が親しまれてきたが、日本ではあまりポピュラーではなかった。しかし福島弘和が編曲したこの楽譜によって、日本でもレパートリーとして定着することが期待される。
こちらはピッコロ、第2トランペットと第2トロンボーン、ティンパニがオプショナルで、16名から演奏できる。《カーリッジ・マーチ》に比べると旋律の音域が半音分広く、シンコペーションのリズムが多用されているので、こちらの方がレベルとしてはわずかに上かもしれない。コントラストや変化を意識して繰り返しを効果的に演出する点は、この曲の演奏でも重要なポイントである。
タイトルの『アラモ』は、テキサス独立戦争(1835-1836)の舞台となった“アラモ砦”にちなんだもので、この作品はその戦いの兵士たちに捧げられている。もっとも、戦争をイメージするような場面はなく、オーソドックスなスタイルの快活なマーチとして楽しめばよいだろう。
楽器編成
-
- Flute/Piccolo
- 1st Clarinet in B♭
- 2nd Clarinet in B♭
- Bass Clarinet in B♭
- Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭
- Baritone Saxophone in E♭
-
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭(option)
- 1st Horn in F
- 2nd Horn in F
- 1st Trombone
- 2nd Trombone(option)
- Euphonium
- Tuba
-
- Timpani(option)
- Snare Drum
- Bass Drum
- Crash Cymbals
Ⅲ:ワシントン・ポスト The Washington Post March
▶ スコアPDF閲覧はこちら作曲:ジョン・フィリップ・スーザ/編曲:福島弘和
演奏時間:2:30 グレード:3 演奏最少人数:22名
“マーチ王” ジョン・フィリップ・スーザ(1854-1932)の、言わずと知れた代表作のひとつであり、やはりスーザの《エル・キャピタン》と並んで、8分の6拍子で書かれたマーチを代表する1曲でもある。
1889年、アメリカの新聞『ワシントン・ポスト』のオーナーが、紙上で行われた作文コンテストの表彰式で使う行進曲の作曲を当時アメリカ合衆国海兵隊の楽団長であったスーザに依頼して生まれたマーチで、多くの人は、かつては平凡な新聞であった『ワシントン・ポスト』に、このマーチによって名声と注目がもたらされたと語っている。その後この曲はツー・ステップというダンスのための音楽として流行し、最も多く演奏されたスーザの作品のひとつともいわれている。
《カーリッジ・マーチ》、《アラモ・マーチ》と比べると、この曲は技術と音楽表現の両面で一段レベルが高い。各楽器の音域は広く、8分の6拍子のリズムも不正確になりやすいのがその理由だ。この曲の、特にタイや休符を含んだリズムは崩れやすいので、タイを取り去って練習するなど、十分に準備をして演奏に臨みたい。半音の動きや、スラーを多く含むトリオのアーティキュレーション、それにユニゾンと和声的な動きの効果的な対比も、練習の大きなポイントとなるはずだ。
福島弘和によるこの編曲はほぼ標準的な編成で描かれているが、オプショナル楽器を除けば22名から演奏が可能である。
楽器編成
-
- Piccolo(option)
- 1st & 2nd Flutes
- Oboe(option)
- Bassoon(option)
- Clarinet in E♭(option)
- 1st Clarinet in B♭
- 2nd Clarinet in B♭
- 3rd Clarinet in B♭(option)
- Bass Clarinet in B♭
- 1st Alto Saxophone in E♭
- 2nd Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭
- Baritone Saxophone in E♭
-
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭
- 3rd Trumpet in B♭(option)
- 1st & 2nd Cornets in B♭(option)
- 1st & 2nd Horns in F
- 3rd & 4th Horns in F(option)
- 1st Trombone
- 2nd Trombone
- 3rd Trombone(option)
- Euphonium
- Tuba
-
- String Bass(option)
- Timpani
- Snare Drum
- Bass Drum
- Crash Cymbals
- Glockenspiel
Ⅳ:アンパリト・ロカ Amparito Roca
▶ スコアPDF閲覧はこちら作曲:ハイメ・テキシドール/編曲:高橋宏樹
演奏時間:2:40 グレード:4 演奏最少人数:23名
スペインの作曲家ハイメ・テキシドール(1884-1957)によって作曲された、マーチのみならずスペインで生まれた音楽作品の中でも世界的に知られた作品のひとつ。吹奏楽のレパートリーとしてはマーチと位置付けられているが、本来は『パソ・ドブレ』の曲である。パソ・ドブレを英訳すると『ダブル・ステップ』、すなわち2拍子のことで、通常は男女ペアとなり、マーチ風の音楽に乗って踊るダンスを指す。男性は闘牛士を女性は闘牛士が持つ赤いケープを演じるのが一般的。
本曲集4曲の中では、この作品が技術的に最もレベルが高いといってよいだろう。旋律を担当するパートは、広い音域の中で細かい動きが要求され、一方の伴奏パートは、曲の持ち味である推進力が滞らないように正確なリズムを表現する必要がある。そもそも、Gの音の細かい刻みとそれを支える半音の動きによる冒頭部分で、多くの団体は音(ね)を上げるに違いない。しかしその分演奏効果もきわめて高く、とりわけハ短調からハ長調に転じ、美しく伸びやかな旋律と高音域のきらめくようなパッセージのコントラストを楽しめるトリオは、多くのバンドの意欲をかき立てるに十分だ。
曲名は、作曲者が音楽学校で教えていた当時の生徒のひとりの名。なぜその少女の名をタイトルにしたのかは明らかにされていない。
この作品は、オプショナル楽器を除けば23名で演奏が可能である。
楽器編成
-
- Piccolo
- 1st Flute
- 2nd Flute
- Oboe(option)
- Bassoon(option)
- Clarinet in E♭(option)
- 1st Clarinet in B♭
- 2nd Clarinet in B♭
- 3rd Clarinet in B♭(option)
- Bass Clarinet in B♭
- 1st Alto Saxophone in E♭
- 2nd Alto Saxophone in E♭
- Tenor Saxophone in B♭
- Baritone Saxophone in E♭
-
- 1st Trumpet in B♭
- 2nd Trumpet in B♭
- 3rd Trumpet in B♭(option)
- 1st & 2nd Cornets in B♭(option)
- 1st & 2nd Horns in F
- 3rd & 4th Horns in F(option)
- 1st Trombone
- 2nd Trombone
- 3rd Trombone(option)
- Euphonium
- Tuba
-
- String Bass(option)
- Timpani
- Snare Drum
- Bass Drum
- Crash Cymbals & Triangle
- Xylophone(option)
推薦文
今回4曲のマーチを選ぶにあたり、考慮したことは、ひと口に「マーチ」といってもそこにはさまざまな内容と、スタイルと、教育的な意味があることを考えていただき、取り組むことでその多様さを実感していただくことでした。実際、技術的なレベルはIとIIが初級~中級、IIIとIVが中級~上級となり、やさしいIとIIには随所に教育的な配慮がみられます。調性や拍子もそれぞれ異なり、特に8分の6拍子で書かれたIIIは、新たな学びの機会をもたらしてくれるに違いありません。IIIとIVがいずれもダンス音楽としての性格を備えていること、そしてIVが民俗的なカルチャーによって支えられていることも音楽表現の大きなヒントとなるでしょう。
これらの多様さを発見し、味わっていただくために、最初は少なくともふたつの作品を選び、練習していただくことを提案いたします。マーチが広げてくれる豊かな音楽の世界をお楽しみください。
(後藤 洋)




