本作品「ダンツァ・ゼルコヴァ」は、2013年ブリヂストン吹奏楽団久留米の委嘱作品として書いたものである。 ゼルコヴァとはケヤキのことで、福岡県久留米市の市木でもある。そのケヤキが、ブリヂストン久留米工場前の並木道に沿って植樹してあり、四季を通じて木のぬくもりを感じ取ることが出来るそのながめは、まるで美しい樹木のトンネルの如く壮観である。 ダンツァ・ゼルコヴァ、つまり「ケヤキの舞」と題したこの作品は、この樹木が見つめてきた、あるいはこれからも見守ってゆくであろう風景や人間模様、それらに宿る心描写を音楽にしたものであり、世界を見渡すと、樹齢が1000年を超えるものもあるというケヤキそのものの生命力と、そこに願いを込めてきた人々への賛歌でもある。
演奏上の注意など特にはない。先述のタイトルはもとより、書かれている音符から思い描いた、自由な解釈で演奏していただければ幸いである。

(Jerry Grasstail)