21世紀の吹奏楽“響宴”委嘱作品。春の風景を描いた美しいスローピースです。

南カリフォルニアの春の風物詩として知られている花、ジャカランダ。タイトルのジャカランダ・ミモシフォリアは学名。
日本の春が桜のピンクで覆われるように、ジャカランダの薄紫で彩られる街の風景は、どこを切り取っても美しい。花が散って道路が紫一色になる頃も格別に美しい風景となります。そんな一面薄紫色に染まった街と、花の儚さを想いながら書いたこの「ジャカランダ・ミモシフォリア」は、第23回響宴のスクールバンドプロジェクトのための書きおろしです。
私が音楽を書く時にいつも頭から離れないのは、全ての楽器が旋律として横に流れているという意識と、縦の和音の響きが一音たりとも無駄のない意味のあるものであること、この二つです。この二つにアンサンブルの楽しさが加わったものを書きたいという思いで、音楽をやっています。聴く人それぞれの人生の背景で、消えずに残っているような音楽を書いていけたらと思っています。

非和声音を含むハーモニーはアンサンブルが難しいですが、相手の音に耳を澄ましながら、自分の一番心地よいと思う音をピンポイントで探してみてください。

(西邑由記子)