ドイツ・ロマン派を代表する作曲家、ロベルト・シューマンの作品を形成する沈みがちな雰囲気は病的と言って良いほど鋭敏なものに思います。夢見がちと言うにはあまりにも生々しく、悶えるような音の絡み合いは、特にピアノ曲や室内楽曲において独特な魅力を湛えています。
　1849年に作曲された「３つのロマンス」にもそのような性格が与えられており、精神障害に悩まされていたからでしょうか、一層の内省的な表情が楽譜から滲み出ているように感じます。この作品はオーボエとピアノのために書かれたものですが、他の独奏楽器でも度々演奏されています。今回は標準的な吹奏楽編成として編曲しました。
　2018年9月23日、愛媛県立伊予高等学校吹奏楽部（指揮・長谷川公彦）、第31回伊予高校芸術発表会ILEX CONCERT（ひめぎんホール）にて初演されました。

（井澗昌樹）