《輝く日への前奏曲》は1992年、埼玉県川越市立野田中学校吹奏楽部の創部10周年を記念して作曲され、同年４月に行なわれた同吹奏楽部の第６回定期演奏会において、当時の顧問であった佐藤正人氏の指揮で初演されました。

タイトルが示唆しているように、この作品はコンサートや行事の開幕のための大規模なファンファーレとして構想されており、その最も大きな特徴は、ステージ上のメンバーとは別のファンファーレ隊(トランペットとトロンボーン各３パート)が要求されていることで、バルコニー(または客席かステージの花道)に位置したファンファーレ隊がステージ上のトランペット、トロンボーンと互いに呼び交し合うことによって生まれる音響的な立体感が聴きどころと言えるでしょう。

曲は大きく３つの部分に分かれ、冒頭のファンファーレの動機と中間部の広々とした歌が最後の部分ではひとつになり、呼び交し合っていたふたつのグループも一体となって終結に至ります。

東芝EMIが制作した楽譜とCDのセット『新・実践吹奏楽指導全集』に収録されていた作品ですが、今回、新たな装いで一般発売されることとなりました。

(後藤 洋)