
第70回全日本吹奏楽コンクールの課題曲委嘱作品「ジェネシス/鈴木英史」の全国大会の演奏33団体をぜ~んぶ収録
全日本吹奏楽連盟の課題曲委嘱作品として作曲された鈴木英史「ジェネシス」
全国大会では全99団体中33団体もの団体が取り上げたこの作品を全て収録。
いろんなジェネシスを聴いてください!
「こんなアルバム、見たことも聴いたこともない!」
ジェネシスを聴いて / 鈴木英史
ここに収録されたすべての演奏は、会場で聴いています。
その後DVDでも全団体を拝見して、さらに細やかな工夫に驚き、そしてこのCDからは賞から離れたところで各団体の魅力に気づきます。
一つの楽曲からこれほど変化ある表現を産んでいただけたことに感動しました。
可能ならブレーンから発売されているDVDも見て欲しいです笑
全団体聴き通してみると、それぞれの表現への熱量をひしひしと感じ、充足感に満ち溢れます。
『ジェネシス』を通して、譜面から表現を生むという当たり前の文化が、吹奏楽で追求された貴重な証しがこのCDの意味するところでもあるなあ、と思います。
この曲を書いて本当に良かった。演奏に携わった方々に心から感謝!
(鈴木英史)
収録曲(作曲家:鈴木英史によるコメント付き)
【Disc.1】
- [1] 旭川市立永山南中学校 吹奏楽部 / 山口 清司
伝統ある旭川地区の温かな歌心が炸裂したアプローチに心を揺さぶられます。本番ならではの表現や気持ちがオープンに出るのが、永南の素晴らしさですね。落ち着いたテンポで全部のパートに歌があることに感動!
- [2] 加古川市立中部中学校 吹奏楽部 / 中原 淳子
30名ほどの編成でホルンとユーフォニアムが1人ずつ!にもかかわらず、逆に轟いて響いてて!前奏3小節で卒倒しました。1パート1人でも成り立つことを音楽的にも証明した偉大な演奏で、内声のちょっとしたアクセントにも反応している緻密さも含め最高です。
- [3] 山口市立小郡中学校 吹奏楽部 / 林 直幸
大音量で圧倒する吹奏楽の対極、美しく力まないアプローチは実は未来の吹奏楽の方向を際取りしています。前奏が始まった瞬間の透明さ!これはちょっと他では聴けないクオリティで、林先生の繊細な耳が生徒さんに伝わって、蜘蛛の糸のような緻密さにあふれています。
- [4] 生駒市立生駒中学校 吹奏楽部 / 山上 隆弘
最初の1音で会場の空気が一変したあの瞬間をハッキリ覚えているかたも多いでしょう。「音と響き」の説得力が半端なく、しかも表情が細かい!これは奏者の自発的のたまもの。サウンドだけで語られがちな生駒中ですが、真の凄さはその自発的な表現にあると感じています。
- [5] 浜松市立湖東中学校 吹奏楽部 / 鈴木 青葉
主担当の先生が病で倒れられ急遽夏から指揮を担当した先生と、その状況下で落ち着いて広がりある落ち着いた演奏を披露できた生徒の皆さんのアプローチが凄い。慣れていないとテンポって走ってしまうものですが、この細やかな細部を改めて味わい底力に敬意を表します。
- [6] 北海道遠軽高等学校 吹奏楽局 / 高橋 利明
スコア1ページ目の掛け合いが全て聴こえるだけでなく、転調でサウンドを変え、Es-durに向けて絶妙にアゴーギグを加える前奏の完璧さ。[A]も全てが絡み細かい音符も音楽的に聴こえて密度の濃い響きはまさにEs-dur!Tuttiでこれだけ見事に色の変えられるアプローチに降参です。
- [7] 活水中学校・高等学校 吹奏楽部 / 杉町 たまみ
明るく爽やかな印象の前向きさの中に、内声の特にホルンパートの超絶スーパー表現に心打たれてしまいます。最高ホルンパートの勲章を与えましょう!低音の倍音を絶妙に調整して上声部をクリアに絡められるようなアプローチ。旋律の歌ごころも豊かでよく考えられていますね。
- [8] 埼玉栄高等学校 吹奏楽部 / 奥 章
爽やかに前進し青空を思い浮かべる旋律ラインの表現はこの団体ならでは。このスコアからこんなスッキリさを生むには、一拍ごと瞬間ごとの尋常ではないサウンドへのこだわりの賜物ですね。歌にこだわった活動をしている栄高校ならではの他には真似できないアプローチです。
- [9] 愛知工業大学名電高等学校 吹奏楽部 / 伊藤 宏樹
最初から聴き続けてくると、名電のこの上ない自然さを誰もが感じるはず。基礎を大切にする姿勢が音楽表現の自然さにつながった稀代の名演となりました。特に[J]に入ったところでの充実したクライマックス感は心震えます。強い持続力が貫いているからこそ成し得た表現!
- [10] 東海大学付属札幌高等学校 吹奏楽部 / 井田 重芳
始まった瞬間からの圧倒的な安定感。インテンポのように聴こえますが、各フレーズに合った絶妙なアゴーギグの自然さが天才的。1箇所だけ大きなアゴーギグも「うまい!」と膝を打ちます。[J]での二つの旋律の再会を祝うような軽快さまで、味わい深い持続と表現に脱帽。
- [11] 就実高等学校 吹奏楽部 / 小林 巧
美しい音楽を奏でる就実が積極的に広がるサウンドを目指しましたが、やはりmpやレガートの美しさ、トリオの木管のうた、自発的なフレージング、音色(オーボエのブレンドが絶妙!)にこの団体ならではの色合いが存分に感じられます。個人個人の力と表現の幅広さに注目です。
- [12] 浜松聖星高等学校 吹奏楽部 / 土屋 史人
とにかく美しい!マッチョなイメージだった聖星から、極上のトロけるようなビューティーサウンドが産まれて。会場で聴いていて惚れてしまいました。多分今まで聴いたこの曲の中で一番の美しさです。どうやったらこんな音楽になるのか逆に自分が習いたい!感動の演奏。
- [13] 東海大学付属大阪仰星高等学校 吹奏楽部 / 藤本 佳宏
ここまであえて外声に拘りきったアプローチに、そう来たか!と会場でも唸りました。透明なスッキリとした音像での語り口でサウンドにも大いに拘わりが。マーチではないこの曲ですが、逆にマーチとしても聴けるアプローチ。美しさとバランス設定の妙が楽しめます
- [14] 高松第一高等学校 吹奏楽部 / 石川 幸司
さすが音楽コースのある名門、内声と外声が両方音楽的に絡んでいるんです!すべての瞬間にすべての声部が聴こえる、これはものすごいアナリーゼ力なんです。こういう点を評価できる評価方法が望ましいなあ、と心から思います。日常の活動の充実がよくわかる嬉しい演奏です。
【Disc.2】
- [1] 富山大学 吹奏楽団 / 建部 知弘
丁寧に語っていながら、フレーズの前進感を常に失わせないアプローチは、旋律ライン優先でもありつつ、内声もきちんと絡んでいるところが見事です。そして特にトリオの絶妙なアゴーギグが一番美味しい[H]に収束し、立体的なクライマックスまでの計算もとても緻密です!
- [2] 日本経済大学 吹奏楽部 / 柴田 裕二
発音と音色、響きの美しさに引き込まれます。基礎的なアプローチが徹底されているのが伝わります。だからこそ、全ての音と掛け合いがちょうど良いテンポ感で語られる密度の濃い表現が生まれていますね。伸び盛りのバンドの初々しさと気負いのバランスの心地よさも最高。
- [3] 文教大学 吹奏楽部 / 佐川 聖二
これ以上自然で完成された演奏はない、というくらい誰がどう聴いても文句の全くつかない、自然な、かつ美しい演奏。佐川聖二さんの懐の深さと、それに完全共感する奏者の信頼関係の証し。音符の処理ひとつにも愛があふれ、トリオの自然なアゴーギグは神業の域です。
- [4] 創価大学 パイオニア吹奏楽団 / 伊藤 康英
先輩作曲家に振ってもらうドキドキ感、この演奏には嬉しさと降参しました感がミックス!ミクロの単位で楽譜を解き明かして、時には作曲者が気づいてないところまで暴き、さらに新鮮な驚きも。「表現のコンクール」の扉を開いてくれた貴重な演奏。録音だとさらに凄さがわかります。凄すぎる!
- [5] 北海道教育大学函館校 吹奏楽団 / 三笠 裕也
和声の響きの持続が途切れない前奏にまず驚き。音が長いだけだとベタベタしがちだけれど全くその逆で!豊かに深みを持ってつながるんですね。特に中低音の音の処理に相当拘っているその細部への視線が嬉しく、ラストでドラマチックな展開も待っている見事な構成。
- [6] 静岡大学 吹奏楽団 / 三田村 健
フレーズ変化に応じて音型や奏法を変える前奏にニヤついていたら、[A]でハッとさせられる思いもよらない処理。多声部はリラックスすると全部聴こえるという演奏の鉄則をご存知の指導者ならでは。全ての音への愛情と、工夫、仕掛けが伝わりまくる、その愛と拘りに敬服です!
- [7] 名取交響吹奏楽団 / 宍戸 篤
高い技術で聴かせるイメージの名取が、これほどリラックスして語ってくれるとは!いい意味で裏切られました!ffでも余裕ある奏法で各パートが無理なく絡むのを耳で味わえ、打楽器も和声的に絡んでいたりと、これまた理想的な名演です。聴くたびに味わいが変わるのも凄い!
- [8] 上磯吹奏楽団 / 澤邊 諒
会場で聴いてものすごく共感した演奏。アナリーゼ力が実はすごく深いのですが、だからこそ自然に美しくまとまっているんです。指揮者のダンスも印象的でしたが、音だけ聴くと奏者がものすごく冷静に頭と耳を使って演奏しているのがわかります。個人的に推し演奏の一つです。
- [9] 愛媛交響吹奏楽団ウェーブ / 柿並 陽子
16分音符への拘りが完璧!ここまでクリアに16分を自然に語った演奏は他になかったかもしれません。そして[H]のdolceとdolcissimoへの視線と愛情っぷりも嬉しいですね。旋律が伸びやかに歌うけれど和声と一体になっている、ベテラン指導者の音楽性の深さに感動した演奏!
- [10] Nisshin Wind Orchestra / 清野 雅子
全ての和音の色が完璧に聴こえる前奏(1拍ごと変わる7小節目は特に!)、[H]の心に響く音楽的なクライマックスなど、全部を挙げたくなる緻密さが嬉しい演奏です。中学の部で名演を作った指導者ならではの、重厚感と持続の安定さが全編に感じられる見事なアプローチ。
- [11] ムジカグラート氷見 / 瀬尾 宗利
中学生から壮年メンバーまで集う地域バンドの先駆け的存在。指揮者のお人柄を彷彿とされるような爽やかテンポでのウキウキ感に加えて、内声の細やかなクリアさが同居するのが素晴らしい!進むにつれて極上の表現に深まり(特に[H]ブラボー)幸せな社会の縮図を感じます。
- [12] 西区市民吹奏楽団 / 松井 裕子
tuttiサウンドの見事なこと。木管の美しい発音と音色の煌びやかさが素晴らしい。そして中間部で心うばわれたのは、天才的なユーフォニアムさんの極上プレイ。どのパッセージも「そう、そうなんだ!」と言い続けてました。最後1小節のtuttiも思っていた通りの終わり方で完璧です。
- [13] 創価学会関西吹奏楽団 / 伊勢 敏之
絡み合うパッセージの、発音とリズムの掛け合いの処理にこだわりまくっているので、レントゲンを撮ったように全てのパーツがクリアです。アナリーゼの細やかさがなせる演奏です。小節のまたぎ方も丁寧でサウンドの安定が全編素晴らしく、ラストの充実感も半端ないです。
- [14] 出雲吹奏楽団 / 仲田 守
全ての音・パッセージについて確固たる意志とビジョンがあるのがビンビン伝わります。それは一重に仲田守マエストロのアナリーゼのきめ細やかさの証しですが、奏者がその膨大であろう指示に立ち向かって表現している、というスリリングさをも感じられる演奏ですね。
- [15] 宝塚市吹奏楽団 / 渡辺 秀之
前奏ですぐに色の変化に驚きますよね。これは中低音の絶妙な仕事の成せる技なんです。中低音で和音とサウンドの変化を語れるのが大きな魅力。だから上声部含め美しくまとまるんですね。[H]をものすごく大切にしてくれているのもとても嬉しい演奏。打楽器の好演も印象的です。
- [16] 川金アンサンブルリベルテ吹奏楽団 / 日景 貴文
技能集団が耳と色合いでどう表現するかが興味津々。強弱やバランスを駆使しての表現から各奏者や指導者の多様性が。それを経てのtutti、cresc.や強奏がエネルギッシュに鳴り響く一体感が曲のクライマックスと一致し見事。アプローチと演奏者の関係もドラマの一部ですね!
- [17] ブリヂストン吹奏楽団久留米 / 冨田 篤
全ての瞬間に愛が溢れまくり。実際会場では[J]で涙腺が崩壊しました。周りにはバレてないはず…。創価大と同じくらい物議を醸した表現ですが、この2団体、ほぼ同じなのですよ!楽譜をそう読んだのね、というのが痛いほど伝わってくるので、それもプラスされた愛情っぷりに心底感激します。ぜひDVDも見て欲しいなあ。
- [18] 相模原市民吹奏楽団 / 福本 信太郎
サウンド作り・和声・表現の変化・アナリーゼの全てを網羅する指導者のもと、演奏者も頭脳フル回転の様子が伝わってきます。ものすごくきめの細かい作業をしてますね。それでいて快速なテンポでのさわやかな全体の印象が生まれているのがとてつもない魅力的な演奏です。
- [19] 光ウィンドオーケストラ / 佐藤 博
にごりのない響き、クリアな音程、1音目からの透明度抜群のサウンドから拘りが全開です。それに加えてtutti部分ではバランス設定へのこだわり、快速な部分での音型・音の処理のこだわりが徹底されて。全てが崩れない美しいサウンド、超レヴェルのサウンドクオリティが見事すぎ!
演奏データ
第70回全日本吹奏楽コンクール全国大会より
全国大会で演奏された課題曲委嘱作品「ジェネシス/鈴木英史」33団体を収録