作曲：オリヴァー・ヴェースピ(Oliver Waespi)
演奏時間：15:29（約）
グレード：5
編成：吹奏楽

Flute 1
Flute 2
Flute 3 / Piccolo
Oboe 1
Oboe 2
English Horn
Bassoon 1
Bassoon 2
Contrabassoon
Eb Clarinet
Bb Clarinet 1
Bb Clarinet 2
Bb Clarinet 3
Eb Alto Clarinet
Bb Bass Clarinet
Bb Contrabass Clarinet
Eb Alto Saxophone 1
Eb Alto Saxophone 2
Bb Tenor Saxophone
Eb Baritone Saxophone

Bb Trumpet 1
Bb Trumpet 2
Bb Trumpet 3
Bb Cornet 1
Bb Cornet 2
F Horn 1
F Horn 2
F Horn 3
F Horn 4
Trombone 1
Trombone 2
Trombone 3
Euphonium 1
Euphonium 2
Tuba 1
Tuba 2
String Bass

Harp
Timpani
[Percussion 1]
[Percussion 2]
[Percussion 3]
[Percussion 4]

この作品「Il Cantico（イル・カンティコ）」は、2005年にシンガポールで開催されたWASBE（世界吹奏楽協会）会議のために、チューリッヒ・オエリコン＝ゼーバッハ市吹奏楽団から委嘱されました。
作曲のインスピレーションとなったのは、アッシジの聖フランチェスコによる有名な詩「太陽の賛歌（Cantico di Frate Sole）」です。この詩の中で聖フランチェスコは、自然や太陽、大地、生きとし生けるものすべての創造に対して、神への感謝を表現しています。
作品はこの詩の一部に基づいて構成されています。
最初はフルートによる夢のような緩やかな旋律が始まり、それが徐々に太陽の出現を導きます。太陽の光のエネルギーは、輝かしく力強い金管楽器によって表現されます。
次の部分は再びテンポを落とし、月（sora luna）と星（le stelle）に捧げられます。音楽は内省的になり、木管楽器による穏やかな響き、そして神秘的なホルンのソロへと進みます。
この間にも、次の急速な展開を予感させるように、いくつかの和音の断片が一瞬だけ現れます。
クライマックスとなる速い部分では、火（frate focu）がテーマになります。夜を照らす火は、地上における太陽の象徴とも言える存在です。終盤では、太陽のテーマと火のテーマが組み合わさり、壮大なフィナーレへと向かいます。
この作品には、詩のイメージだけでなく、音楽的にも緻密な構成があります。冒頭のホルンとフルートに現れる4音のモチーフが、作品全体を通じて発展し、豊かな旋律と和声を生み出していきます。つまり、全体としては単一のテーマ（モノテーマティック）を変化させながら構成された「変容の形式（メタモルフォーゼ）」といえます。
後半では、火のテーマに関連する新しい和音の系列が加わり、最終的にはそれらすべてが統合されて曲を締めくくります。