[スコア]
♪詳細情報♪
編曲:伊藤康英(Yasuhide Ito)
演奏時間:3分30秒 (約)
グレード:3
主なソロパート: B♭Cl. / A.Sax. / Trp. / Hrn.
Trp.最高音:1st:G / 2nd:Es / 3rd:C
編成:吹奏楽
販売形態:販売楽譜(スコア+パート譜)
▼楽器編成▼
Piccolo (also Flute)
Clarinet in B♭1 (div.)
Clarinet in B♭2 (div.)
Clarinet in B♭3 (div.)
Bass Clarinet in B♭
Alto Saxophone in E♭ 1 , 2
Tenor Saxophone in B♭
Baritone Saxophone in E♭
Cornets in B♭ 1 , 2 , 3
Trombones 1 , 2 , 3
Euphoniums (div.)
Tubas
String Basses
Percussion 1
Cymbals
Suspended Cymbal
Antique Cymbal
* ヴォーカルは歌うためのものでなく、曲の意味やイントネーションの参考のためのものです。
♪楽曲解説♪
この歌は、リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の作品10の8曲からなる歌曲集の最後に置かれている。ヘルマン・フォン・ギルムの詩「最後の葉」による。リヒャルト18歳頃の作品。
スコア最上段にメロディと逐語訳を掲載した。英語に置き換えたほうが理解し易い部分については、あえて日本語にしていない。(歌のパートは、詩と、詩のイントネーションの理解のために書かれているもので、演奏用ではありません。演奏には加わらないでください。)
「万霊節」とは、いわば日本のお盆のようなもの、いわゆるハロウィーンの翌日、死者の魂が帰ってくる日、11月2日ころである。このタイトルそのものが、何か死者に対するものであることを予感させるのだが、それは、この詩の第3節で「墓」という言葉が現れて明白となる。恋人は、おそらく既にこの世に無いのだ。失われた恋人に対して、もう一度愛を語り合おうと訴えかける切なさ。青年リヒャルト・シュトラウスはこれを、あえて明るい変ホ長調と、色彩的なハーモニーで描いた。
原曲はピアノ伴奏。この曲を伴奏する際には、繊細かつ大胆な音色への配慮が不可欠である。そのテイストを十分に表現できるようなオーケストレイションを施した。特に、歌詞のイントネーションやフレージング、詩からくる曲調を重視した。メロディがさまざまな楽器に推移していくさまや、微細なアーティキュレイションの違いなど、是非、スコアを読み込んでもらいたい。
また、原曲にはテンポの変化は書かれていないが、参考までにいくらか書いておいた。これらは、すべて詩のニュアンスやハーモニーから来るもの。本来は、ほぼ in Tempoで演奏されるべきところが、若干の「揺れ」が生じているというわけ。作為的なテンポ変化とならないよう、自然な音楽の流れを心がけてほしい。
原曲は9小節から始まっている。(ただし、和音の配置を変更してある。)冒頭8小節は、この詩で何度もリフレインされる「wie einst im Mai」をもとにして作られている。面白いことに、リヒャルトはこの詩に毎回異なったメロディを付けており、それが聴き手にさまざまな意味合いを感じさせている。そのあたりもよく感じ取りたい。
この編曲は2014年12月7日、増井信貴指揮、洗足学園音楽大学グリーン・タイ・ウィンド・アンサンブルにより初演された。
(伊藤康英)