竹久夢二の紡いだことばに委ねられた、語られ得ない精神の疼き、声にならぬ叫び。そういったものが、ジャズや即興演奏など幅広い活動を手掛ける作曲者の豊かな感性で描かれた作品。人間の性を秘めた壮大な世界観が、ダイナミックな中にもジャズ風な要素も交えた秀逸な表現で豊かに展開されていく。
音が鳴り始めるや、艶やかな色彩を帯びた空間のなかで胡蝶が自由に少し妖艶にひるがえり始める―。そんな感覚に包まれる、斬新ながらどんな人の心にも感覚的に入り込む独特の美しい音色をもつ作品。器楽的な性格を併せ持ち、ピアノ伴奏はその世界観の創造に大きな役割を果たす。
かつての想い人との、春夏秋冬の想い出―今、涙として溢れるしかない行き場のないそれらの情景が、わたしの小さな胸に容赦なく湧き出る。その渦巻く心境を多彩なハーモニーと音楽構成で、心に染み入るように描かれた作品。親しみやすく取り組みやすい音楽でありながら変化に富む楽曲構成は、飽くことなく歌い手も聴き手も魅了する。
“ここに立ちすくす私たちを、世界が愛してくれますように。”普遍的な人間の「祈り」が描かれながら、広くどんな方にも親しまれやすい作品となっている。ひとつの詞が何度も掛け合いで表現されたり、一本の太い音となったりする中、きっと誰もの心の中に、鎮静な、そして前向きな、癒しともなる祈りの心が芽生えるのではなかろうか。
収録内容
タイトル | 作曲 | 作詞 | 編成 | Time | 試聴 | |
1. | 三味線草・壱 | 森田 花央里 | 竹久 夢二 | SATB+pf | 5:45 | |
2. | 胡蝶 | 網守 将平 | 八木 重吉 | SATB+pf | 4:20 | |
3. | 私の胸は小さすぎる | 魚路 恭子 | 谷川 俊太郎 | SATB+pf | 8:20 | |
4. | 立ちつくす | 三宅 悠太 | 長田 弘 | SATB+pf | 5:30 |
森田 花央里 プロフィール
東京藝術大学作曲科卒業。第19回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門・中田喜直賞の部入選。混声合唱とピアノのための組曲「青い小径」(詩:竹久夢二)にて第24回朝日作曲賞(合唱組曲) 受賞。組曲より「鐘」が2014年度全日本合唱コンクール課題曲G4に採用。CD・楽譜発売中。CD[ブレーン] 楽譜[カワイ出版]近作に、《眞實》(2014/教育芸術社)、《風の記憶》(2014/チェリスト・原永里子 アルバム曲)他、楽曲提供、CDなど多数。これまでに作曲を、生野陽子、田村洋彦、故 北村昭、山本純ノ介、近藤譲の各氏に師事。現在、ピアノを小山京子氏に、ジャズピアノ・理論を、辛島文雄の師である田村 勝哉氏に師事。
twitter→@Kaori_Morita
twitter→@Kaori_Morita
網守 将平 プロフィール
1990年東京都生まれ。クラシック-現代音楽、電子音楽-サウンドアートの領域を横断し活動。 東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。在学中に長谷川良夫賞受賞。同大学院音楽研究科修士課程修了。 2007年ピティナピアノコンペティション特級において新曲課題曲作品賞受賞。2012年東京国際室内楽作曲コンクール入選。 2013年京都フランス音楽アカデミーにおいてメシアン賞を受賞。同年日本音楽コンクール作曲部門1位及び明治安田賞受賞。 2014年電子音楽レーベルPROGRESSIVE FOrMよりリリースのコンピレーションアルバム『Forma. 4.14』に参加。同年NHK Eテレにて放送された『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』に出演。2015年ACSM116賞受賞。
魚路 恭子 プロフィール
東京藝術大学・同大学院修了。浜松市在住。 第24 回日本交響楽団振興財団奨励賞、第18 回名古屋文化振興賞、第11 回芥川作曲賞ノミネート、第2 回牧野由多可作曲コンクール大賞、第18 回日本歌曲振興会日本歌曲コンクール最優秀賞(併せて株式会社全音楽譜出版社賞)、第80 回日本音楽コンクール第1位(併せて岩谷賞、明治安田生命賞)など受賞多数。合唱作品がカワイより出版されている他に、公益信託宇流麻学術研究助成基金を得て異文化様式による音楽創造の研究論文がある。九州・沖縄作曲家協会、日本音楽教育学会会員。
三宅 悠太 プロフィール
東京生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科をアカンサス音楽賞および同声会賞を受賞して卒業後、同大学院音楽研究科修士課程作曲専攻修了、音楽学部教育研究助手を3年間務める。在学中、奏楽堂日本歌曲コンクール第12回作曲部門一般の部第1位入賞,ならびに第79回日本音楽コンクール作曲部門(オーケストラ作品)第1位入賞、併せて岩谷賞(聴衆賞)および明治安田賞受賞。管弦楽、室内楽、舞台音楽、合唱曲、教材曲など数多くの作編曲を手がける傍ら、音楽科教科書の編纂、NHK全国学校音楽コンクールやTBSこども音楽コンクールをはじめとする各種審査員・講師などを務めている。これまでに作曲を浦田健次郎、塚本一実、小山薫、土田英介、野平一郎の各氏に師事。桐朋学園大学講師を経て、現在、文教大学、聖徳大学、聖心女子大学、都立芸術高等学校各非常勤講師。(2015年4月現在)
主な合唱作品には、《無伴奏混声合唱のための二つの「理由」》(2015)、《帰郷―混声合唱とピアノのための―》(2015)、《祈る―長田弘の詩とヴォカリーズによる―》(2011/Rev.2012)、《子守唄―立原道造の詩による小さなレクイエム》(2012)(以上混声合唱)、《まいごのひかり》(2014)、《いまの「いま」》(2013)(以上同声合唱)などがある。
主な合唱作品には、《無伴奏混声合唱のための二つの「理由」》(2015)、《帰郷―混声合唱とピアノのための―》(2015)、《祈る―長田弘の詩とヴォカリーズによる―》(2011/Rev.2012)、《子守唄―立原道造の詩による小さなレクイエム》(2012)(以上混声合唱)、《まいごのひかり》(2014)、《いまの「いま」》(2013)(以上同声合唱)などがある。
harmonia ensemble プロフィール
harmonia ensemble は、World Youth Choir(世界青少年合唱団)に参加した経験のあるメンバーや、音楽大学に在籍する合唱経験の豊かな学生を中心にして2009 年4 月に結成された混声室内合唱団。 メンバー一人一人が自発的に音楽を作り、他のメンバーと意見を交わしあいながら、一つの音楽にまとめていくという独特のスタイルで活動している。
扱う曲は、ルネサンスから現代までの合唱曲はもちろん、ジャンルにとらわれず、Pops やJazz、Folklore の合唱作品も、積極的に取り上げている。
1st アルバム「明日に架ける橋」(ブレーン㈱)は、季刊誌「ハーモニー」において特選盤に選ばれ、2011 年のパナムジカ合唱CD 売上げ第1 位を記録するなど、高い評価と大きな話題を呼んだ。 7月に行なった第3 回定期演奏会の内容は、2nd アルバム「WINGS-翼-」(ブレーン㈱)に収録されている。 2010 年・2011 年に行われた全日本合唱コンクール全国大会(朝日新聞社主催)では、一般部門Aグループにおいて、二年連続で金賞ならびに特別賞を受賞、また2011 年5 月にフランスで開催された第40 回フロリレージュ国際合唱コンクールにおいて、グランプリ(総合1 位)・聴衆賞を獲得し、2012 年4 月にスロヴェニアで開催されたヨーロッパ・グランプリへ出場、好評を博した。 IFCM(国際合唱連合)2014 年度Official Ambassador(親善大使)。
扱う曲は、ルネサンスから現代までの合唱曲はもちろん、ジャンルにとらわれず、Pops やJazz、Folklore の合唱作品も、積極的に取り上げている。
1st アルバム「明日に架ける橋」(ブレーン㈱)は、季刊誌「ハーモニー」において特選盤に選ばれ、2011 年のパナムジカ合唱CD 売上げ第1 位を記録するなど、高い評価と大きな話題を呼んだ。 7月に行なった第3 回定期演奏会の内容は、2nd アルバム「WINGS-翼-」(ブレーン㈱)に収録されている。 2010 年・2011 年に行われた全日本合唱コンクール全国大会(朝日新聞社主催)では、一般部門Aグループにおいて、二年連続で金賞ならびに特別賞を受賞、また2011 年5 月にフランスで開催された第40 回フロリレージュ国際合唱コンクールにおいて、グランプリ(総合1 位)・聴衆賞を獲得し、2012 年4 月にスロヴェニアで開催されたヨーロッパ・グランプリへ出場、好評を博した。 IFCM(国際合唱連合)2014 年度Official Ambassador(親善大使)。
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