邦人作曲家の最新作を著名バンドが演奏し、披露する日本吹奏楽界の一大イベントである響宴。今年も幅広いジャンルの楽曲が披露された。
内藤淳一『架空のゲームファンタジーへの音楽「フランチェスカの鐘」』は、最低15人から演奏できるという小編成作品。遠い過去を振り返るセンチメンタルな冒頭、「約束の地」に進んでいく疾走感、平和と祝福を祝うコラール、とドラマチックに場面転換していく。
ゲストプレーヤーにドラムス・そうる透を迎えて会場を熱狂させた、星出尚志『サイバー・アポカリプス (委嘱作品)』や響宴初登場の伊佐治直(いさじすなお)『夕焼けリバースJB急行~ハイドン・バリエーション・メタモルフォーゼ』、海上自衛隊東京音楽隊ヴォーカリスト三宅 由佳莉のソプラノによる河邊 一彦『嵯峨野 ~ソプラノと吹奏楽のために~』など、ジャンルにとらわれない正に「新しい吹奏楽のレパートリーの創出」という趣旨に沿った注目の作品群ばかり。
平成25年度JBA下谷奨励賞は
福島弘和『シンフォニックダンス』と堀田庸元『Prelude and Fugue』が受賞。
■白の月に舞う / 朴 守賢
世界中から新作が集まり、現代音楽のオリンピックともいえるISCMのWorld New Music Daysに入選した作品。様々な編成の作品が集まる大会で「吹奏楽」での入選は快挙でした。2014年(ポーランド)にも新作が入選し、ますます活躍の幅を広げています。耳当りが良い透明感のある作品です。
■ファイヴ・コンビネーション / 鹿野 草平
タイトルにある5/8拍子を様々な形に分割して提示される変拍子が特徴的。作曲家自身の持つ音楽語法と吹奏楽で好まれる需要を上手く融合しています。
■サイバー・アポカリプス / 星出 尚志
今話題のプログレッシブ・ロックの要素を多分に用いた曲。そうる透氏のドラムソロと明光院正人氏のエレキベースのサポートがこれでもかと畳み掛け、最高に盛り上がっています。この時のそうる氏が使わっていた楽譜にも注目!(是非映像でお楽しみください。)
■夕焼けリバースJB急行 ~ハイドン・バリエーション・メタモルフォーゼ / 伊左治 直
ボサノバから影響を受け、常に浮遊し続けるような不思議な作風で数多くの受賞歴を持つ伊左治直氏の吹奏楽作品。ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」を分解して、再構築した作品です。
演奏データ
指揮:収録曲欄に記載
演奏:収録曲欄に記載
2013年3月10日 文京シビックホール・大ホールにて収録
収録曲
龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部 指揮:若林 義人
※JBA「下谷奨励賞」受賞作品
川越奏和奏友会吹奏楽団 指揮:佐藤 正人
千葉県松戸市立第四中学校吹奏楽部 指揮:須藤 卓眞
千葉県松戸市立第四中学校吹奏楽部 指揮:須藤 卓眞
[1] I(1'38)
[2] II(3'30)
[3] III(4'11)
神奈川大学吹奏楽部 指揮:小澤 俊朗、志村 健一
※JBA「下谷奨励賞」受賞作品
[4] Prelude(8'00)
[5] Fugue(4'18)
ドラムス:そうる 透 E.ベース:明光院 正人
航空自衛隊航空中央音楽隊 指揮:2等空佐 水科 克夫
ソプラノ:三宅 由佳莉